「世界のホロスコープ」の例はもうひとつ、ゾロアスター教文書『ブンダヒュシュン』の中にある。伊藤義教の分析と補訂(左図)が『ペルシア文化渡来考』に。
書き直すと右図のようになり、(ゴージフル竜の頭と尾を除いて)『エヌマ・エリシュ』のそれと同一であることを知る。
(幾つかの仮定の上ではあるが)描かれる『エヌマ・エリシュ』の「世界のホロスコープ」は、
太陽:白羊宮
月:金牛宮
水星:処女宮
金星:双魚宮
火星:磨羯宮
木星:巨蟹宮
土星(ニヌルタ/ニンウルタ):天秤宮
しかし、「太陽」札の囲い壁をアムピーオーンの竪琴に結びつける解釈(ヴィルト)には与しない。テテーバイの城壁をめぐる血腥い歴史を知っている者には、そこに形而上的展開・解釈が期待できないからだ。むしろ
音を奏でる惑星は、当然、7つの神聖な母音とも関係する。第1天はA(アルファ)、第2天はE(イプシロン)、第3天はH(エータ)、第4天はI(イオタ)、第5天はO(オミクロン)、第6天はY(イプシロン)、第7天はΩ(オーメガ)という聖なる母音を発する。
地中海の季節は3つ、ヒポクラテースの体液説も3体液だったが、四大元素説の採用で4季節・4体液に変更されたことは既に触れた。錬金術では、物質の色が作業行程の指標として重要。占星術も色彩に関心を寄せたが、4元素を何色で表すかは揺れが残った。
黄化 ξάνθωσις (citrinitas)。
十五、六世紀になると、黄化に代わって緑化viriditasが登場することもあったが、一般化はしなかった。ユングはここに、「四要素構成と三要素構成の象徴的な意味……内的、神的な理由に関わりにを持つ」と考えている(『心理学と錬金術』)。
ウィリアム・ブレイクの『ヨブ記』(1825年〕全22点の挿絵が「三重県立美術館」https://t.co/hEfjkdYsC0で観られる。
その1点「Behemoth and Leviathan」を見よう。
欄外にはそれぞれヨブ記文中のことばが引用されている。
ところが、チャトーの『カードの起源と歴史』には、初期のポルトガル・カード(左図)を採録し、貨幣を指すと考えられる丸い形はチャクラを、棍棒(左下)の先のダイヤモンドとともに、ヴィシュヌ神の持ち物(右図)であることを示唆している。
レヴィが『高等魔術の教理と祭儀』において言う「ヘルマヌービス」とは、古代末期、ヘルメースとアヌビスとが(霊魂導師という同じ属性から)同一視された結果(Ἑρμῆς + Ἂνουβις)生じた「アヌビス」のこと。
右図はカルターリ「アヌビス」(『西欧古代神話図像大鑑』)。