タロット・カードの12枚の絵札と黄道十二宮との関係は以上のとおりであるが、ヘブライ語の22字母をアルファベット順に並べて、これを十二宮と対応させることは、「黄金の夜明け団」が始めたことではないし、その対応はでたらめなわけでもない。
22字母から、先ず、三大元素(アレフ・メム・シン)を決定。次に複音(2つの音をもつ)文字7つ(タウ・レーシュ・ぺー・カフ・ダレト・ギメル・ベート)は惑星に充てる。残り12文字が単音文字(チェックのついたもの)で、これを12宮に充てたわけである。
レヴィが『高等魔術の教理と祭儀』において言う「ヘルマヌービス」とは、古代末期、ヘルメースとアヌビスとが(霊魂導師という同じ属性から)同一視された結果(Ἑρμῆς + Ἂνουβις)生じた「アヌビス」のこと。
右図はカルターリ「アヌビス」(『西欧古代神話図像大鑑』)。
ところが、チャトーの『カードの起源と歴史』には、初期のポルトガル・カード(左図)を採録し、貨幣を指すと考えられる丸い形はチャクラを、棍棒(左下)の先のダイヤモンドとともに、ヴィシュヌ神の持ち物(右図)であることを示唆している。
ウィリアム・ブレイクの『ヨブ記』(1825年〕全22点の挿絵が「三重県立美術館」https://t.co/hEfjkdYsC0で観られる。
その1点「Behemoth and Leviathan」を見よう。
欄外にはそれぞれヨブ記文中のことばが引用されている。
黄化 ξάνθωσις (citrinitas)。
十五、六世紀になると、黄化に代わって緑化viriditasが登場することもあったが、一般化はしなかった。ユングはここに、「四要素構成と三要素構成の象徴的な意味……内的、神的な理由に関わりにを持つ」と考えている(『心理学と錬金術』)。
地中海の季節は3つ、ヒポクラテースの体液説も3体液だったが、四大元素説の採用で4季節・4体液に変更されたことは既に触れた。錬金術では、物質の色が作業行程の指標として重要。占星術も色彩に関心を寄せたが、4元素を何色で表すかは揺れが残った。
音を奏でる惑星は、当然、7つの神聖な母音とも関係する。第1天はA(アルファ)、第2天はE(イプシロン)、第3天はH(エータ)、第4天はI(イオタ)、第5天はO(オミクロン)、第6天はY(イプシロン)、第7天はΩ(オーメガ)という聖なる母音を発する。
しかし、「太陽」札の囲い壁をアムピーオーンの竪琴に結びつける解釈(ヴィルト)には与しない。テテーバイの城壁をめぐる血腥い歴史を知っている者には、そこに形而上的展開・解釈が期待できないからだ。むしろ