→この期を境としてヘルメス-メルクリウスは地上的啓示神にして金属の精という二重の性質を帯びるようになり、いわばヘルマプロディトス的存在と考えられるようになったのである」(ユング『心理学と錬金術』)。
「哲学の卵」の中にメルクリウスが太陽と月の上に立っている(『沈黙の書』)。
プラトーン『国家』第10巻に有名なエールの神話。エールは戦死し、10日目に(他の死体はみな腐敗していたのに)彼だけは腐らずに収容され、運ばれ、死後12日目に火葬にされんとして薪積みの上で生き返り(ここでἀναβιόωが使用)あの世で見たことを報告した。その内容は興味深いが今は問題としない。
時あたかも「狂牛病(BSE)」が世界を震撼させた時期と一致する(最初の発見は1986年イギリス)。牛が丸ごと焼却処分される画像が世界に配信されたこともさることながら、狂牛病の原因が、飼料として与えられた汚染肉骨粉が感染源と考えられることが衝撃を与えた。牛は牛を食べさせられていたのだ。
このような家畜管理方式を人間管理方式に応用したのが、宦官制度だという。「人を去勢して特定の用途に用いるという事例は、すでにメソポタミアのシュメール世界に存在する……また紀元前8世紀のアッシリア世界で、宮廷の官吏として、去勢されたものがいたとの指摘がなされている」(谷泰)。
②ボイオティアのタナグラ人には牡羊を首回りに担いだ像。こうして市壁のまわりをメルクリウスが巡り歩くと悪疫が焉んだからだという(9巻22,1)。
③アルカディアからオリンポスのユピテル神殿に奉献されたメルクリウス像は、頭に兜を被り、兵士の短い鎧を纏い、腕に牡羊を抱えていた(5巻27,8)。
「火の象徴としての牡羊は、また古典的な占星術の中にも見られる。そこでは獅子宮が動かない火(炎や光)を、人馬宮(射手座)が移ろいやすい火(灰や融解)を示すのにたいして、白羊宮(牡羊座)は基本的な火(火花や熱)を表している」(『動物シンボル事典』)。
この三つ組みに加えてさらに→
かくして世界は①〜③の上界3層と、④〜⑥の下界3層とから成る。この2つの世界を結ぶのが天の門であり、天の門が開くのは1年に2回(夏至と冬至)である。
ティアマートを打倒したマルドゥークが最初にしたことは、「メソポタミアの支配者には常に問題だった暦を組織することであった」。
先日挙げた図は、ローマ軍による「コリントス最後の日」を描いたトニー・ロベール=フルリの作品(1870年代)。作品の説明は
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アテーナイ市の保護神がアテーナーであったごとく、コリントスの保護神は武装したアプロディーテーであった。『西欧古代神話図像大鑑』を参照。
マルセイユですぐに想い出すのがタロット・カード。このタロット・カードの起源がエジプトだと主張したのがクール・ド・ジェブラン。その『原初世界』の伊藤博明による翻訳が
「オカルト的タロットの黎明(1)クール・ド・ジェブラン「タロット・ゲームについて」
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さらにヘレニズム期に至って、ヘルメース→メルクリウスはアヌビスとも習合したという。「それは黒あるいは金色の犬の顔をして、左手にカドゥケウスをもち、右手で棕櫚の緑の枝を振るメルクリウスである、と言われていた」(カルターリ『西欧古代神話図像大鑑』)。ここまでくると、わけわからん。
『星の民俗学』を繙いたのは勿論、粗探しをするためではなく、論者が中国の天狼星とバビロニアのシリウスの異同について記していたことを想い出した故だ。中国は狼星を弧矢で狙っているのに対し、バビロニアのそれは矢の鏃であるという違いがある。が、西方星学の北廻りの行路を窺わせる内容である。