→「実際、ウェスパシアヌスは紀元69年に皇帝となり、ヨセフスはその予言実現の褒賞として……ローマへと連れて行かれ……市民権と皇帝の中の住居とを与えられ……ローマ人がパレスチナでの戦争で戦利品として没収した農地からの収入にもとづく終生年金を手に入れた」→
天界に通じる通路と地下界に通じる通路を明確に表象したのはプラトーン『国家』X巻エルの神話(右図)だが、この表象は新プラトーン派が継承、特にマクロビウスで定着した。彼は「人間どもの門」「神々の門」と呼び、これが至点に相当することはメソポタミアに遡源させられるとGavin White は論じた。
「鎮めや呪詛などの呪法と組み合わせて多用されたものに、陰陽道の霊符がある。……家の天井や壁、あるいは宅地などに貼るなり置くなり埋めるなりして建物ないし宅地の気を整え、外部からの災厄の侵入を防ぐ……これを「鎮宅」といい、鎮宅のための符を「鎮宅霊符」という」(『簠簋内伝』)
「あらゆる神話をみていくと、男性も子どもを産むのに一役買っているということに気づかなかったころは、男性はなんとかして自分も女性のように子どもを産みたいものと思って、自分を「女性にする」ように努めたことがわかる」──これが「去勢(Castration)」の項の書き出し。まさに発想の転換。
この家畜の管理方法を”そのまま”人間に適用したのが、宦官制度であろう。
”宦官制度がどうして東方に発展し、西方では発展しなかったのか?” 根本的問題は残るが、このあたりの考察は谷泰の論考に全面的に依拠している。このおそるべき探求・考察がほとんど無視されていることに、驚きを禁じえない。
ピロメーラー/プロクネー/テーレウスを鳥に変えた神格としてヘスティアーは最もありそうにないことを述べてきたが、Wiki「ピロメーラー」がそう主張していると知って、典拠に挙げられている『爆笑/ギリシア神話』を購入、確認した。確かに、「家庭の守り神である優しいヘスティアーが」とある。
→オレステースの「墓はアルカディアのテゲア Tegea にあり、神と祭られていたが、さらにイタリアでは……遺骨はローマのサートゥルヌスの神殿下に葬られたとの話がある」という記事を見れば、さぞかし驚かされることだろう。むしろ我々はここに希臘に於ける“宗教葛藤”の激烈さを想うべきかもしれぬ。
一方、西方においては、エジプトでは愛憎半ばしたブタが、一神教によって徹底的に憎悪・排斥された。それはなぜなのか? 様々な説が唱えられているが、決定打に欠ける。そのうえ、「私は知っているが云わない」と云ったヘーロドトスの謎めいた語(Hdt. II,47)が、謎を倍加させているのである。
ようやくキリスト教に飽きてきた知識人たちが、希臘の霊魂導師”ヘルメース”と、エジプトの霊魂導師”アヌビス”とを結びつけて、”ヘルマヌービス”なるダイモーンを観想したとしても不思議はない(カルターリでは、まだ”ヘルマヌビス”という造語までには至っていないらしい)。