タロット・カードの12枚の絵札と黄道十二宮との関係は以上のとおりであるが、ヘブライ語の22字母をアルファベット順に並べて、これを十二宮と対応させることは、「黄金の夜明け団」が始めたことではないし、その対応はでたらめなわけでもない。
ところが、チャトーの『カードの起源と歴史』には、初期のポルトガル・カード(左図)を採録し、貨幣を指すと考えられる丸い形はチャクラを、棍棒(左下)の先のダイヤモンドとともに、ヴィシュヌ神の持ち物(右図)であることを示唆している。
地中海の季節は3つ、ヒポクラテースの体液説も3体液だったが、四大元素説の採用で4季節・4体液に変更されたことは既に触れた。錬金術では、物質の色が作業行程の指標として重要。占星術も色彩に関心を寄せたが、4元素を何色で表すかは揺れが残った。
「セフィロトの木」に”ダート”を加えることは、その作用の意味を完全に理解した者でなければできない……「ダートを要請することによって「創造の三位一体」の問題は明確になろう。……”ダート”はそれによって世界が確立される「言葉」から構成されるものとして図式化できるから」(P・ホール)
”アダム・カドモンは向こう向きである”ことと関連するのが、ヤキン/ボアズの柱の左右問題である。いったい、どちらがどちらに配置するのか、確たる根拠を述べた者に出会わない。
答えは、(向こう向きの)アダム・カドモンの右側がヤキン、左側がボアズである。
右端の生き物はἙρμάνουβις。神名辞典にも見当たらないが、アプレイウスの『黄金の驢馬』イシスの密儀の場面に登場する。そしてその図像は、カルターリ『西欧古代神話図像大鑑』に「アヌビス」の名で出ている。
先日挙げた図は、ローマ軍による「コリントス最後の日」を描いたトニー・ロベール=フルリの作品(1870年代)。作品の説明は
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アテーナイ市の保護神がアテーナーであったごとく、コリントスの保護神は武装したアプロディーテーであった。『西欧古代神話図像大鑑』を参照。
マルセイユですぐに想い出すのがタロット・カード。このタロット・カードの起源がエジプトだと主張したのがクール・ド・ジェブラン。その『原初世界』の伊藤博明による翻訳が
「オカルト的タロットの黎明(1)クール・ド・ジェブラン「タロット・ゲームについて」
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このチャクラが初期のポルトガル・カードに出ることは先に見た。「ダナーリ(金)を示すと考えられる丸い形は、貨幣というよりインドの絵画に見られる「チャクラ」……に似ている。クラブのカードの上方には、いわゆるダイヤモンドがあり、これも同じ神の別の属性である」(『カバラと薔薇十字団』)。