さらにヘレニズム期に至って、ヘルメース→メルクリウスはアヌビスとも習合したという。「それは黒あるいは金色の犬の顔をして、左手にカドゥケウスをもち、右手で棕櫚の緑の枝を振るメルクリウスである、と言われていた」(カルターリ『西欧古代神話図像大鑑』)。ここまでくると、わけわからん。
「あらゆる神話をみていくと、男性も子どもを産むのに一役買っているということに気づかなかったころは、男性はなんとかして自分も女性のように子どもを産みたいものと思って、自分を「女性にする」ように努めたことがわかる」──これが「去勢(Castration)」の項の書き出し。まさに発想の転換。
→ ホドロスキーは「このカードのメッセージは大きな霊的慰めである」と云い、ニコルズは「稲妻がじつは絵の中の人間に狙いを定めてはいない……その照準は塔の方へと向けられているのだ」と云う。ヴィーブル版については、「イエスの再臨」の図像との関係性が気になるところ、と『タロットの歴史』。
ピュタゴラース派では、「9」は「月のもたらす増大や知恵を表す数である(太陽の場合は「8」)」(『イメージシンボル事典』)。また「9」対「8」は、音楽理論や地球の調和とも密接な関係がある(『世界シンボル大事典』)。
どうやら田川はこういう話がお好きでないらしく、εὐνοῦχος には触れなかった。しかし、出エジプトは牧羊管理技術の神話化にすぎないと云った谷は果敢に切りこんでゆく。即ち、自らを生け贄とし、神と人間との仲介者になるという話は、種付け牡の中からさらに選んで誘導羊にする技法の神話化だと。
時あたかも「狂牛病(BSE)」が世界を震撼させた時期と一致する(最初の発見は1986年イギリス)。牛が丸ごと焼却処分される画像が世界に配信されたこともさることながら、狂牛病の原因が、飼料として与えられた汚染肉骨粉が感染源と考えられることが衝撃を与えた。牛は牛を食べさせられていたのだ。
タロット・カードの12枚の絵札と黄道十二宮との関係は以上のとおりであるが、ヘブライ語の22字母をアルファベット順に並べて、これを十二宮と対応させることは、「黄金の夜明け団」が始めたことではないし、その対応はでたらめなわけでもない。
天界に通じる通路と地下界に通じる通路を明確に表象したのはプラトーン『国家』X巻エルの神話(右図)だが、この表象は新プラトーン派が継承、特にマクロビウスで定着した。彼は「人間どもの門」「神々の門」と呼び、これが至点に相当することはメソポタミアに遡源させられるとGavin White は論じた。
0「愚者」札。マルセイユ版に「描かれている小動物は猫で、古代エジプトでは猫の姿をした女神バステトなどが奉られていました」(『タロットの歴史』)。「何」が「何」に「奉られていた」のか文意不明だが、この小動物が猫だという説を知らなかった(ホドロスキーは「犬か猿」)と)ので、興味深い。
マルセイユですぐに想い出すのがタロット・カード。このタロット・カードの起源がエジプトだと主張したのがクール・ド・ジェブラン。その『原初世界』の伊藤博明による翻訳が
「オカルト的タロットの黎明(1)クール・ド・ジェブラン「タロット・ゲームについて」
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