髯のあるアプロディーテーは、カルターリ『西洋古代神話図像大鑑』邦訳p.633-644に出る。典拠はアレクサンデル・ナポリタヌスとスーダである。ローマの女たちに、髪の毛が抜け落ちる病が流行し、ウェヌスに祈ったところ願いが叶ったので、櫛を手にした彫像を奉納したという。
アルチャーティに限らず、科学者の著す占星術書は常に皮肉っぽい。「ものたりない読者は、自分で勝手に解釈のルールを作ってみられるがよい。玄人の占星術師が作ったものと、その当たる確率は五十歩百歩である」(中山茂『占星術』)。
[MEMO]魚座〔双魚宮〕の図像〔11世紀、ビザンツ〕を、一応、ヨナを呑みこんだ鯨の図との類似から「復活」の意と解したが、この図像が珍しいことに違いはない。キルヒャーの図像(右図)ともやや似ていることに気づいた。しかし問題として保留しておこう。
黄化 ξάνθωσις (citrinitas)。
十五、六世紀になると、黄化に代わって緑化viriditasが登場することもあったが、一般化はしなかった。ユングはここに、「四要素構成と三要素構成の象徴的な意味……内的、神的な理由に関わりにを持つ」と考えている(『心理学と錬金術』)。
うろ覚えだが、手塚治虫の『鳥人体系』は、たしか、一羽の鳥が1本の火のついたマッチを使って人間に復讐するところから始まったように記憶する。鳥類に地球の支配権を与えたところが、結局は人類と同じ道をたどることになってしまったので、じゃあ次はゴキブリにということに……悪夢にうなされた。
アシュ・メザレフは『大いなる神秘の鍵』補遺に収録されている。難解だが、錬金術の観点からは「ありきたりの硫黄-水銀理論」にすぎない。とはいえ、「フラメルの物語が特にその後の錬金術信仰の大きな源泉となったことだけは疑いもない事実であった」(『錬金術事典』)。
病気にかかった者が死ぬのか、それとも生きのびるのかは、もちろん、古代人にとっても重大関心事であった。この種の予後判定具としては「デーモクリトスの球(Δημοκρίτου Σφαῖρα)」がよく知られている。魔術書(PGM II, p.81)に載っているものが図である。
→「実際、ウェスパシアヌスは紀元69年に皇帝となり、ヨセフスはその予言実現の褒賞として……ローマへと連れて行かれ……市民権と皇帝の中の住居とを与えられ……ローマ人がパレスチナでの戦争で戦利品として没収した農地からの収入にもとづく終生年金を手に入れた」→
ピロメーラー/プロクネー/テーレウスを鳥に変えた神格としてヘスティアーは最もありそうにないことを述べてきたが、Wiki「ピロメーラー」がそう主張していると知って、典拠に挙げられている『爆笑/ギリシア神話』を購入、確認した。確かに、「家庭の守り神である優しいヘスティアーが」とある。
そして1531年、アルチャーティの”エンブレム”という新しいジャンルの中にリュシッポスの詩が再び姿を表した時、Καίρος(男性名詞)は何時の間にか女性に変身していたのである(下図は1534年版)。後ろ頭が禿げていること、剃刀を持っていることは変わっていないことがわかる。
パラケルススの思想は複雑・韜晦で、統一的な解説は難しい。わたしの理解では(間違っていたらスミマセン)天上界、月下界、その中間という3世界に分けて解するのがわかりよいように思う。彼は第5元素〔錬金術の最終目的〕を信じていた。これはいわば天上界の存在である。
プラトーン『国家』第10巻に有名なエールの神話。エールは戦死し、10日目に(他の死体はみな腐敗していたのに)彼だけは腐らずに収容され、運ばれ、死後12日目に火葬にされんとして薪積みの上で生き返り(ここでἀναβιόωが使用)あの世で見たことを報告した。その内容は興味深いが今は問題としない。