同様に、トルメキア戦役勃発に際し、ジルは迷わず一人娘ナウシカを自身の代わり―族長代理―として送り出します。逆らえばトルメキアとの全面戦争になる以上、そこに選択の余地はありません。勿論、参加する戦そのものの善し悪しはまた別の問題としてですが。
こうしたジルにとり、娘ナウシカは将来有望ながらも未熟で危なっかしい存在であり、それ故かなり厳しく当たります。例えば、ペジテ滅亡を慌てて伝えようとするナウシカに対し、ジルは先ずその狼狽ぶりを厳しく窘めます。
また、クシャナの部下に一騎討ちを挑んだことについても、ジルはユパに対し「軽率も甚だしい、殺されても当然」とかなり手厳しく評価します。恐らくナウシカ本人に対してもかなり厳しく叱ったことでしょう。
確かに、何れの場合も指導者としては後先考えない問題ある言動であり、特に後者の場合はまんまと敵の挑発に乗せられて全面戦争の火蓋を(その準備もなしに)切りかねなかった点では、匹夫の勇の謗りを免れないものがあります。
そのせいか、出陣後のナウシカが「父」を思い出す様子は殆どありません。一度だけ、土鬼で物思いに耽る際、王蟲、ユパ「さま」に続いて「父上や谷のみんな」と思い返したのみです。しかも恐らくこの時一番想いを馳せたのは、「包帯を巻いてくれた少年(アスベル)」のことでした。
ではジルは全く父として娘を案じていなかったのかといえば、寧ろ逆であろうことが臨終の際の態度に現れています。いよいよ死にゆく間際となったジルは、ミトからナウシカが大海嘯への懸念故ひとり従軍を続ける決断をしたことを聞かされます。
一方、この時谷に集まっていた辺境諸国の長は、来るべき土鬼の辺境侵攻に備え、当てにならぬトルメキアへの臣従破棄と辺境諸国の軍事同盟結成を主張します。実はナウシカもそれを見越して、ミト達と共に虎の子のガンシップを谷に帰還させていました。
にも関わらずジルは同盟には加わるが、ガンシップは「ナウシカの仕事」=大海嘯阻止に使うと宣言し、またミトにユパを探してナウシカの助けとさせるよう依頼を行います。これは、谷の安全だけを考えれば(少なくとも短期的には)決して最善の策ではないでしょう。
更に重要なのは、ジルはかかる決断を下したナウシカを「おろかなやつだ…」と評しながら、それでもその決断を支持し、また「たった独りで世界を守ろうとする」危うさを案じながら逝ったことです。これが娘を案じる父の愛でなくてなんでしょう!
してみると、ジルが繰り返し口にした「男ならば…」にも、ありきたりな男尊女卑的見方とは別の、「もしナウシカが全く違う性格の人物か、或いは他の後継者ありせば、無理に族長をさせることなく、もっと彼女に合う生き方・育て方もあったのに」という悔恨もあるように思われてきます。
今週の #逃げ上手の若君 、「逃げ」の中での攻勢ということでまさかのパルティアンショット発動!今回その和名を初めて知りましたが、逃げメインなら大胆にアクロバティックに戦える時行君が実に映えますね。
そしてオチの小笠原サン。もはや目が独立したイキモノ化してますが、今回時行君が活躍できたのも、小笠原サンの卓越した弓馬術と、小童相手にも手を抜かない全力投球ぶりあってこそなので、実はイイ強敵なのです…目はギャグ要因だけれども。