ワーテルロー編が佳境の『ナポレオン 覇道進撃』ですが、読み返すと現状のどん詰まりの遠因が全てスペイン戦役編で予告されてて痺れますね。
ここでずばり、クロトワさんの密命とはクシャナ殿下の抹殺&秘石奪取なのですが、彼は「尻尾の見える芝居」を態々殿下に見せながら、中々「あと一押し」をせずに、決定的瞬間まで引っ張ります。もちろん、単には「任務達成後には自分は確実に始末されるから」ですが、それだけではないと思われます。
まあ完全に露の自業自得なのだが、こうなると対内的に格好をつける為「だけ」に、後先考えず宇を無茶苦茶に破壊してから凱旋(という名目で渋々撤退)する可能性が危惧されるかもしれません。
では何故かといえば「自分を高く売る」タイミングを掴むためと思われます。即ち、クロトワさんはここまで、任務遂行と両睨みしつつ、巧みな操艦でアスベルを倒し、やや手荒にではあるが宿営地でクシャナを救出、何よりこれ等の活躍を通じ下士官の人心をがっちり掌握していきます。
そして彼の凄いところは、この「後」は殿下に誠心誠意仕えていることです。その真骨頂は4巻、カボでの第三皇子との一幕でしょう。逆上して冷静を欠くクシャナを逃がすため、重傷のクロトワは一見裏切りにすら見える芝居を打って貴重な時間を稼ぎます。
#ナウシカ といえば、特に映画編では「聖人」「救世主」として、また漫画編終盤では「世界の破壊者」(?)として兎角超人じみた見方をされることが多いのですが(そういう面も確かにありますが…)、今回はそうではない面、苦悩する人物としてのナウシカに焦点を当ててみたいと思います。
実際、クロトワさんはあのナウシカにも物怖じせず、時に残酷な世間の事実を教え、時に出番を奪われたと一人拗ね、はたまたある時は我を忘れて助けに駆けつけ、と非常に「等身大に」、また感情豊かに接しています。これも他の登場人物にはあまり見られない行動といえそうです。