石川雅之先生『もやしもん』。
酔っ払った武藤さんと及川さんが大学の発行蔵で飲み直した果てに朝を迎えるシーン。
百合がメインではないですが、大学生達の日々新しい扉が開けていくようなわくわく感に満ちた楽しいノリと、人が集まり繋がっていく共同体ならではのお祭り感に満ちた素敵な漫画。
石川雅之先生『もやしもん』。
酔っ払った武藤さんの百合力の高さは私服がボンデージチックなインテリドSな長谷川先輩にもいかんなく発揮されていましたね。
先輩を下の名前で呼んで
「スッピンの方がかわいい」
と煽っていく武藤さんのストロングスタイルには感動しました。
ほろ酔い百合、素敵。
たみふる先生『付き合ってあげても いいかな』。
大学生主人公のみわが初めてお酒を飲んだ軽音部の飲み会の帰り道で、友人の冴子から恋人になりたいと告白される1話から始まるほろよい百合。
二人を見守る軽音部の面々の眼差しが優しくて素敵です。
『もやしもん』もそうですが大学生っていいですね。
アリスの瞳がサファイアで華子の瞳がヘリオライトといった数々のシンメトリーがロンドンを舞台に散りばめられているなんて、当時の文学がお好きな方にはたまらないのではないかと。
百合好きな方は勿論英国文学がお好きな方にぜひ読んで欲しいです。
19世紀ロンドンの文化風俗が描かれているのは例えば華子とアリスが汽車に乗ってローズバロウハウスからロンドンへと向かう描写にも見てとれます。
アンナ・パレホ・ディバロは19世紀ロンドンの"郊外詩人"をさして次のように述べています。
こうした当時の文化を作中できちんと再現しつつ、なおかつアリスが執筆活動をし
「愛は自由であるべき」
と本心を語るローズバロウハウス(郊外)と、婚約者エドワードに本心を隠しまたペンネームを使って自らを偽るロンドンの対比も散りばめている、とても素敵な構成。
百合好きな方には『さよならローズガーデン』で語られる"薔薇"と"世界の果て"という言葉から『少女革命ウテナ』を思い出す人もいるかと思いますが、
「世界の果てに行っても構わない」
と述べる華子がどうなっていくかも個人的にはとても楽しみにしているポイントです。
百合文壇バーでは何度か90年代ウテナとゼロ年代以降の優しい物語について話をしてきましたが、
https://t.co/tFR173jpz0
シンメトリーが散りばめられた中で
「愛は自由であるべき」
という優しさにおいて"同じ"気持ちを持つ華子とアリスがウテナ的イメージを持ちながらどうなるか楽しみです。
昨日のメイド百合特集にて森薫先生『シャーリー』を取り上げました。
ベネットが結婚すると勘違いしたシャーリーが
「結婚しても働かせてほしい」
とお願いをする「お願い」という回が大好きでして。
対するベネットの返答
「できるだけ長く一緒にいたいのよ」
の言葉に個人的には百合を感じます。
そしてその夜シャーリーが見た夢の描写も凄く素敵です。
「ふたりでずっと踊るのだ」
という、時を超える永遠性が描かれています。
この時を超えた関係性については先日の今こそ百合語らナイトでぬまがさワタリ先生や横槍メンゴ先生も触れられておられましたが、"百合"らしさかと思います。