美咲「4時だっけ?結構遅い時間にしたんだね」
佳文「大体みんな帰って、静かになるのがそれくらいかなって」「心の準備とかもしたかったし」
美咲「そっか」
美咲「じゃあ私一回帰る」
美咲「一回帰って、5時くらいに兄貴と一緒に荷物取りに来るから」
美咲「ファイトだぞ!」
#ある光
佳文「本当にありがとう」「ずっと仲良くしてくれて」
「進路で迷ってた私に、音楽の楽しさを思い出させてくれて」
「落ち着いたら美咲も絶対、東京に来て」「言ってたじゃん 一緒に、SSA目指すんだって」
「私」「待ってるから…」
#ある光
佳文(市は都市再生機構(UR)と協定を結んで復興まちづくりに着手し)
(山を切り開いて、街をまるごと高台移転してしまう方針を決めていた)
(街だったところのほとんどは堤防状に土を盛って、防潮林にしてしまうらしい)
佳文「…」
#ある光
佳文「とっておいてくれたの…?」
父 「ああ、市が持ち主不明の被災車両を集めて」「処分するって公告したんだ。その中にあった」
「期限になっても誰も名乗り出なかったから、一応引き取っておいた」「どうする?」
佳文「…」
#ある光
佳文「戦争とか、公害とか、災害とか」
「家庭の事情、経済的事情、病気や体の不調」
「色んな理由で悲しみの底にいたり、生きづらさを抱えたりしている人が、この社会にはたくさんいます」
「そういう人の心にできる限り寄り添って、少しでも前を向いて、明日を迎えてもらえるような」… https://t.co/XuI7vNyJfT
美咲「佳文ごめん、私」「そろそろ子供迎えにいかないといけないから、一回戻るね」
佳文「あっ、そうだったね」
「ごめんね、忙しいのに来てもらって」「今日はいろんなこと思い出せて、すごいいい時間だった」
美咲「気にすんな!」「またこっち来たら連絡して!」
佳文「……」… https://t.co/6eLeFVgbns
美咲「でも私は正直あんまりかな」「私、合理主義者だし」
「今目の前にあることが全て」「旦那と、子供と、あとパート」
「それにちゃんと向き合わないと」「来世がとか、神様がとか言いだしちゃうと」
「なんか自分の責任から逃げてるみたいな気がして」「性に合わない」… https://t.co/UbGxiUvG10
父「おい、佳文」
佳文「お父さん…!」
佳文「よかった…」
父「すまん、県の方も総出でな」「ちょっとだけ抜けてきた」
父「家、見に行くか」
母「ええ、行きましょう」
#ある光