パタパタパタ。女が楽しそうに化粧をする。トントントン。女のそばに恋人の男、キャンバスに絵の具の「点」を打つ。ブロードウェイの一場面。原作は画家スーラの「グラン・ジャット島の日曜日の午後」。この絵、無数の点で出来ている。離れると目の錯覚で明るい色に。計算ずくの技法。これもまたアート
「ねぇ、知ってる?ピカソって子どものとき絵が上手くなりすぎて。それであんな描き方になったんだよ」高校の時、美術部の先輩が私にニヤリ。図書館で証拠をあさる私。本当だ!ピカソ16歳、普通に上手い‥
20世紀。正確さより斬新さ。自分のスタイルを見つけた。それがピカソのヒミツですね、先輩?
ツバキの前で10時間。中学生の時に植物画を描いた。しだいに黒ずむ葉先。早く描かないと枯れちゃう!あせる私。老いの早い被写体を涙目で睨みつけ。
そんな静物画にも元祖が。16世紀の画家カラヴァッジョの「果物籠(かご)」。虫食いのリンゴ。生あるもの、やがて滅びる。ツバキの枯れ葉も今は愛しい