最後に「そういうお前はどれほどのネームが切れるんじゃい!」という質問にお答えして、ぼくの作例を公開しておくよ!どうかな?「静止画が動いている」ように見えるといいのだけど…?
先ほどの3コマから真ん中のコマを省略すると、「違う方向から走る2台の(つまり別々の)クルマ」に見えるはずだよ。まったく同じ画像なのに不思議だね!
クレショフ効果を応用すると、まったく同じ画像でも違うストーリーを作れるよ。たとえばこの3コマ。細かい部分のデザインは3枚とも違うけど、マンガの中では「一台のクルマ」に錯覚するはずだよ。スポーツカーで軽快にドライブしているシーンに見えるはずだよ。
でも、真ん中のコマを省略したら…?
ここではレジェンド級の達人として、鳥山明先生のコマ割りを見るよ。すべてのコマでカメラアングルが変わる=映画ならカットが切り替わっていることが分かるね!さらに注目すべきは、「本来なら存在するはずの中間的な動作」を省略していることだよ。
(画像出典)
『ドラゴンボール』第3巻
じゃあ、コマの順番を入れ替えたらどうかな?
「危険な敵のいる場所から脱出して、ホッと一息」
「ところが、敵の愛用する銃が目の前に!」
「まだ敵は近くにいる、警戒は怠れない…」
…みたいに見えるかもしれない。少なくとも、最初のバージョンとは違うストーリーを想像しちゃうはず。
クレショフ効果を応用すると、セリフやナレーションを使わなくても「ストーリーを想像させる」ことができるよ。たとえば、この3コマの場合はどうかな?何かストーリーを想像しちゃわない?
たとえば、この女の子は危険な敵に追われていて、反撃に使える銃を見つけて、ホッとしている……とか?
じゃあ、この女の子を「ラーメンの画像」と交互に並べたら、どう見えるかな?「お腹が空いていそう」とか「ラーメンを食べたそうにしている」とか、あるいは「大嫌いなラーメンを見てドン引きしている」とか、色々な解釈をしたくならないかな?