「死者の行進」を描くときはものすごく迷いました。当時は、戦争を体験した方がたくさんいらっしゃいました。マンガ家の中にも水木しげるさんみたいに戦場で腕をなくした人もいらっしゃったから、経験のない僕が戦場を描くのは、いけないことじゃないか、失礼になるんじゃないか、と思ったんです。
どこかで想像の世界の破滅だったものが、想像ではなくて、もっと現実になってしまう。やはり未来は暗いのかもしれないと考え込んでしまう。そうしたことを現実として捉えだしたのが、「漂流教室」なんですね。すぐそこに破滅があるかもしれないという危機感がありましたよね。
#楳図かずお