この作品のキモは「人間ドラマ」にあるので、多くの視聴者さんにその領域にスッと入ってもらいたい…そしてドラマ制作の現場には「役者が演技でシンクロ感を出すならこういう表現があり得る」という演技の技術、方法論があります。それが「実写で得られる一番大きな取れ高」だと思ってます。
些細な身振り手振りや、眉の動きひとつで感情を表すようなシーンも多く、これは言ってしまえばフィクション誇張というか…
主人公の直樹はVRSNSにどっぷりハマっているので、ポリゴンアバターの些細な動きから感情を察することもできます。でも読者さんにそれを感じさせるのは難しい…と思いました。
もちろん「そうした描写をCGで表現してこそでしょ」という意見も分かります。
ただ原作はもともと特定のVRSNSを再現したわけではなく、「現実世界のVR技術をフィクション的に先取りした架空のVRSNS」という設定なので、どこまでCGを作りこんだら説得力が出るのかに厳密には正解がないのです。