【1章修正】
佳文(分かってる 分かってるって)
(そもそも私は何になりたいの?)(そこから逆算して ちゃんと方向付けなきゃって、分かってるのに)
(あー私、何になりたいんだろ)
(肝心なところが、ずっと分からないんだ)
#ある光
佳文(2年ほど経ってついに、宮田君が亡くなっていたと確認された)
佳文 (見つかった遺骨の歯型を、地道に照合する中で分かったらしい)
#ある光
佳文(そして、ヘドロと瓦礫にまみれた、あの震災なんかまるでなかったみたいに)
(真っ白いコンクリートや、真新しい舗装が街を包んだ)
(でもあの惨禍を語り継ぐための努力は)
(絶え間なく続いた)
#ある光
佳文「とっておいてくれたの…?」
父 「ああ、市が持ち主不明の被災車両を集めて」「処分するって公告したんだ。その中にあった」
「期限になっても誰も名乗り出なかったから、一応引き取っておいた」「どうする?」
佳文「…」
#ある光
佳文(市は都市再生機構(UR)と協定を結んで復興まちづくりに着手し)
(山を切り開いて、街をまるごと高台移転してしまう方針を決めていた)
(街だったところのほとんどは堤防状に土を盛って、防潮林にしてしまうらしい)
佳文「…」
#ある光
佳文(放射性物質が降り注いだ7つの市町の約16万人がふるさとを追われ)
(首都圏などへの避難を余儀なくされた)
父「そういえばこれ、もらってきたんだ」
佳文「えっ」
#ある光