美咲「4時だっけ?結構遅い時間にしたんだね」
佳文「大体みんな帰って、静かになるのがそれくらいかなって」「心の準備とかもしたかったし」
美咲「そっか」
美咲「じゃあ私一回帰る」
美咲「一回帰って、5時くらいに兄貴と一緒に荷物取りに来るから」
美咲「ファイトだぞ!」
#ある光
父「おい、佳文」
佳文「お父さん…!」
佳文「よかった…」
父「すまん、県の方も総出でな」「ちょっとだけ抜けてきた」
父「家、見に行くか」
母「ええ、行きましょう」
#ある光
佳文(市は都市再生機構(UR)と協定を結んで復興まちづくりに着手し)
(山を切り開いて、街をまるごと高台移転してしまう方針を決めていた)
(街だったところのほとんどは堤防状に土を盛って、防潮林にしてしまうらしい)
佳文「…」
#ある光
佳文「本当にありがとう」「ずっと仲良くしてくれて」
「進路で迷ってた私に、音楽の楽しさを思い出させてくれて」
「落ち着いたら美咲も絶対、東京に来て」「言ってたじゃん 一緒に、SSA目指すんだって」
「私」「待ってるから…」
#ある光
佳文「とっておいてくれたの…?」
父 「ああ、市が持ち主不明の被災車両を集めて」「処分するって公告したんだ。その中にあった」
「期限になっても誰も名乗り出なかったから、一応引き取っておいた」「どうする?」
佳文「…」
#ある光