【76年前の12月4日】「新宿の焼けてなき中村屋の前で人集まる。のぞきみれば進駐兵、暗きところに両掌に煙草とチョコレートをのせて、蝿のごとく集まる日本人をもの哀しき顔にて見まわして『チョコレート』と呟いている。とても勝利の兵とは見えず」 #不戦日記 #山田風太郎 #勝田文

【76年前の12月5日】「皇族だからといって一般人を超える叡智や剛毅を具えているとは限らない。それは知っている。しかし、ともあれ僕はこれから先、自分の思想がどう変るか分らないが、今や天皇制そのものに対しても、はじめて痛切深刻な懐疑が胸中に立ちはじめたことをここに白状する」#不戦日記

【76年前の12月10日】「電車混み、入口ふさぎ、降りる人降りる能わず、『電車は逃げちまやしねえんだから、あけてくれったら！ これだからいくさに負けるんだ！』と怒鳴った者あり、みな悲しげな笑い声、民衆はヤケになっている」 #不戦日記 #山田風太郎 #勝田文

【最終回】 今日発売のモーニング32号で『風太郎不戦日記』は最終回を迎えます。 これまでご愛読ありがとうございました。圧巻の32p、お見逃しなく！ この回を含む全5話を収録した単行本3巻は、7月20日(火)発売です。こちらもどうぞよろしくお願いします。 #不戦日記 #山田風太郎 #勝田文

【76年前の12月18日】「叔父恐るべき悲観論。『こんな世の中が一年や二年でおさまるものか。政府にどうしろったって、政府にどうなるんじゃ。モトが日本のどこにもありゃせんじゃないか。日本はもう駄目だよ』」 #不戦日記 #山田風太郎 #勝田文

【76年前の12月19日】「アメリカ兵、通訳と警官をつれて突如薬局検分に来る。麻薬調査のためなり。家内震動し、遠き窓々より、妹、女中二人こわごわ覗く。叔父も急ぎ洋服に着がえて緊張せる顔にて案内す」 #不戦日記 #山田風太郎 #勝田文

【最終回】 『風太郎不戦日記』最終回。発売中のモーニング32号に掲載中。 この回はほぼ全編兵庫県でのエピソードです。豊岡や八鹿の皆さんには 多大なご協力を頂きました。ありがとうございます！ 兵庫の皆さんを含むご協力者一覧は、20日発売の3巻巻末に記載します。 #不戦日記 #山田風太郎 #勝田文

【76年前の12月23日】「午前伯父と米を搗きに村外れの発電所に出かける。この村にはまだ電燈がひいてなく、村外れに小屋を作り山の上から鉄管で水を落し電気を起している。村人が交替で夜電気をつけにゆき朝消して戻るのである」 #不戦日記 #山田風太郎 #勝田文 #3巻は7月20日発売

【76年前の12月28日】「夜の炉端に近所の百姓ら集まり、ただ天皇を憂うる声のみ。（中略）天皇信仰の鉄壁はげに農村にあり。されど、ああ、これら農民の信仰は盲信との区別なし。それゆえに強く、それゆえに弱し。それゆえに恐るべく、それゆえに恐るるに足らざるなり」 #不戦日記 #山田風太郎

【76年前の12月29日】「徳田球一殴打事件に世論囂々。口をひらかせず殴るは野蛮封建的にして、世界の前に恥ずかしとの論多し。これ尤もの論なり。ただしこれを潜行せる軍国主義者の煽動となすは少々いいがかりなり。事実はこの村に見るごとし」 #不戦日記 #山田風太郎 #勝田文

【8月です】 戦争は夏に限ったことではないのですが、とはいえ昭和20年の夏は 厳しい出来事が多かった…その時の日本は⁉︎ 明日から76年前の夏を #山田風太郎 の日記で振り返っていこうと 思います（8月1日はわずか2行だけなので…）。 しばらくお付き合い頂ければ嬉しいです。 #不戦日記 #勝田文

【76年前の8月7日】 この日の風太郎の日記には「ヒトラーが生きているという噂が絶えない。確証ある屍体が発見されないのだから、これは当分連合国側の夢魔であろう」とある。何が真実かわからない中、着実に敗戦に近づいている空気は感じ取っているようで…。敗戦まで8日の夏の日。 #不戦日記