海賊団として通すべき筋を珍しく多弁に語ってくれるゾロ。一匹狼だった割に組織人の自覚がちゃんとあるんだよなぁ。
ウォーターセブン編はアーロン編をもう一掘りしたものだ、という考え方も出来る。アーロン編はナミの事情をルフィは聞かず、ゾロは寝てる、っていうのがまた非常に彼ららしくて良いのだけれど。
自分が出来ないことを仲間は出来るに違いないとルフィがごく軽く、しかし確信を持って命じる場面に、ワンピースの爽やかさが詰まっていると思うんです。そして、ルフィから寄せられる無限の信頼が仲間を何倍にも大きな人間にしていると思うんです。
「死にたいなら仲間の中で死ね」「死ぬ仲間でも命懸けで助ける」というのが麦わら海賊団の筋なんですね。痺れますね。
自分たちの海賊団が外の世界にわずらわされず自由でいるための強さをルフィは求めているわけで、彼にとって強さは手段でしかないんだなぁ。
世界や社会に対する正義や悪ではなく、どこまでも仲間の中の理屈で動いているところが極限のシンプルさであり、反社会勢力らしくて良いですよね。つまり「仲間の助けを拒むなんて許せん。絶対助ける」と。
海賊としての理想の高さでは一番のウソップが、その理想の高さゆえに海賊団を抜けることになったウソップが、これを言うという重みがある。
仲間として助け合うけれど最後の一線はそれぞれの責任だという峻厳さもまた麦わら海賊団の仲間観だし、最後は自分の責任というのが極限の自由さにも繋がっている気がする。
るろうに剣心のオタクはこの場面で志々雄編の「みんなで一緒に東京に帰ろうね」っていう薫の言葉で力を取り戻す剣心のことを思い出すわけ。