→この物語は「遠い昔、パルラという国の宮殿で起こった事件の解決のため、新王女となったアリサが奮闘する」というもの。しかしこれも人気が取れず不発に終わる→
→一ヶ月後、担当T氏から電話が。
「増刊号への掲載が決定したけど、ページ数を37にして欲しい」
「えッ…45を37にですか?」
「なんとかして」
ただしコマを小さくしたりはイヤなので、幾度も読み返し、無駄なコマやセリフを見つけては減らしていった。
絵では面相筆での線画を部分的に取り入れた→
◆漫画家半生備忘録19
(1/2)
ボクは新担当T氏のもとでネーム作りを開始。
程なくしてスーパージャンプ増刊号に掲載されたのだった。
タイトルは「メタル・スカイ」
大気汚染から逃れるため地中の巨大コロニーで暮らす近未来人達。だが、そこにはある陰謀が渦巻いていた…というお話。
(2/2)
持ち込みの場を青年誌へ移した事も意識し、それまでとは違うテイストの絵柄に挑戦。主人公も女の子ではなく、筋肉質な男とし、内容もハードな展開のSFとしたのだった。
「メタル・スカイ」は現在ボクの短編集「サバイバル・カンパニー」に収録。
https://t.co/vuqTP24AGb
◆漫画家半生備忘録26
(1/3)
アシスタントを使うにはスペースが必要だ。
ボクは6畳二間の自宅から妻と子供二人を妻の実家へ帰らせ、担当T氏が手配したアシスタントさん二人を呼び、全29ページを足掛け3日で完成させなければならなくなった。
アシスタント代は全額編集部持ちだった。
◆漫画家半生備忘録30
(1/2)
「UP DOWN UP」の人気は開始当初、全く無かった。
読者アンケートでの順位を聞かされてたはずだが、何位だったか覚えてない。
イヤな記憶は脳が消し去ったのか。
アシスタント無しでの過酷な隔週連載も相まって、仕事場で寝ると必ず悪夢にうなされてた。
◆漫画家半生備忘録42
(1/2)
「人事課長鬼塚 」の連載では、読み切りの時には無かった要素を加える事にした。
それは狂言回し。
鬼塚のようなキャラクターは第三者からの視線で見せてこそ、光ると考えたからだ。
そこで、人事部の新人部員をその役に設定した。
名前は「桃瀬」とした。
◆漫画家半生備忘録44
月一連載なので、「人事課長鬼塚 」の原稿制作は、子供もいる自宅の狭い二間のアパートで行う事にした。
月産30~31ページなら、アシスタント無しの一人でも余裕で描ける。
ボクは「UP DOWN UP」の時より遙かに落ち着いた気持ちで連載をスタートする事が出来たのだった。
◆漫画家半生備忘録45
(1/2)
担当T氏は連載が始まると、読み切りの時ようにアンケート結果を細かく知らせてくれなくなった。
細かなことで一喜一憂させないためかもしれない。
でも、第2話の人気が余り良くないという事は伝えてきた。
第2話のテーマは社員の「不倫」だった。
(2/2)
トーン代はかなり長い間集英社に負担してもらった。
そのうち原稿料も少しずつ上がっていったので、さすがに悪い気がして、こちらから自然に請求するのをやめた。
原稿料も一度も値上げを要求した事は無く、コンスタントに上げてくれていた。
多分これも担当T氏のお陰だと思う。
感謝!
◆漫画家半生備忘録49
(1/2)
連載開始後は基本的に担当T氏はボクを信頼してくれていて、ボクの描きたい物語のネームが出来上がるのを待つというのが基本姿勢だった。
そしてFAXしたネームを元に、電話で検討していくのだ。
この連載中、丸々ネームを描き直された事は一度も無かったと記憶している。