「ブラック・ジャック」の名作「刻印」で、ロックがBJに手術を依頼する前から既に失明しているという設定が何故あるのか、ずっと疑問だったが、あれはオチのサングラスを外して「信じてくれ」というシーンの為だと気付いた。ロックの失明の下りは、このオチがない改作前の「指」からあったのだろうか。
「ブラック・ジャック」の『刻印』は、雑誌連載時は『指』という題で、ロックの多指症が問題で描き直された(らしい)事が有名だが、雑誌連載版ではBJの爆殺指示をしたのはロックだが、単行本では部下の独断かも?と曖昧になっている。「裏切った親友を死刑台に送った」BJの悲哀が、より際立つ改変だ。
「ブラック・ジャック」の描き替えというと、放射能漏れ事故が細菌兵器の事故に改変された『恐怖菌』だが、実はこの話はドクター・キリコの初登場話だが、単行本には他のキリコ登場話が先に収録された為か、BJとキリコが、面識がある様に書き直されている。
GOD手塚ってオチのセリフ大事にするじゃないですか。ブラック・ジャックは大抵、最後のコマに書いてあるセリフが、本質をついてるんで。そこが改変されると台無しになる。具体的には「魔女裁判」とか。今、出てるチャンピオン・コミックスだとオチがわからない(が、チャンコミでしか読めない)
「ブラック・ジャック」だと「最後に残る者」もチャンピオン・コミックスでしか読めないんだよね。本作は、いい話だし、オチのセリフも効いてるし、何より黒男先生の策略で酷い目に合うドクター・キリコが可愛い。
あたしは今、いい年して小説の専門学校に通ってますが、「クリエイターになりたい!」と思ったのは、小学生の時に「ブラック・ジャック」のこの話を読んでからでした。
(昔は漫画家になりたかった。ネタバレ防止の為、サブタイトルは伏せます)
「ブラック・ジャック」は「灰とダイヤモンド」も、オチが洒落てんだよ。葬式帰りに「祝杯をあげようぜ」。その前の「シッ」「あんたもやるね」の掛け合いもいい。BJで、肩を組んで夜の街に消えるオチにハズレなし!黒男先生と百鬼先生で飲みに行って、話が盛り上がるのかは知らんけど(笑)