あの人、自分でもどう説明していいか分からないことをそれでも一生懸命キャラの口から説明させようとしちゃったから……(下図は説明がうまくいったパターン) https://t.co/ssutHGBLhX
岸辺露伴は動かない(2巻刊行)は、偏屈な漫画家である岸辺露伴が自ら首を突っ込むことで怪奇な事件に遭遇する一話完結型のホラー短編集です。一話完結型で読み易いうえ、漫画家としてかなり大御所な方なのでナレーションも緊迫感のある画面作りも巧く、ぐいぐいと読ませる力があります。
ぼくだけが知っている(全3巻)は、特別な人間で変わり者である「ぼく」ことらいち君が、様々な性格や感性、家庭環境にあるクラスメイト達と関わることで、その特性のまま伸び伸びと学校生活を送ってゆく、言ってしまえばなんてことない、けれど確かにわたし達が送ったあの日々の眼差しを描いてます。
(本当は吉野朔実作品で最高傑作は「エキセントリクス」だと思っているのですが話が少々難解なので省きました。ひとつの体にふたつの心を持った少女と、ふたつの体にひとつの心を持った青年が惹かれ合ってしまったことから始まる、自我と自己を探る不幸と幸福の物語です)
ねじ式(一話完結)つげ義春作品を読んでわたしは「己の虚無を描いてもいいんだ」と衝撃を受けました。無力の力、悪夢の再現、梶井基次郎の「清浄ではない人臭い空気を嗅いでいると、美しい詩や音楽よりも惹きつけられる」と言われるような、見窄らしい癒し。最近、こういう奇妙な漫画に会ってない。
わたしは少年・少女漫画に「理不尽に抗うこと、理不尽に抗わねば人間性は擦り切れる」躍動を求めているのだとプレゼンして思いました。青年漫画はフクザツなものを孕んでゆくけれど。(参考画像はさいきんずっとプッシュしている「チェンソーマン」「ファイアパンチ」)