主人公とラスボスの決戦前の最後の問答にしてはノリが軽い──と見せかねてこの短い応答の中に「チェンソーマン」という作品のこれまでのテーマがギュッと込められてて身震いした。
タツキ先生は本当に神がかってるな…………
さあ、最後の夢バトルの時間だ。
また、デンジくんの夢を僕たちに見せてくれ。
デンジくんが勝ったらマキマさんの野望はステーキとハーレムとセッ○ス以下だ!!!!
他人が良いと思うものが自分も良いと思えるとは限らないし、他人が糞と思うことが自分にとって糞とは限らない。
その上で自分が良いと思えるものを信じればいい。
それを教えてくれた筈の当のマキマさん「つまらないものはいらない」って言われたら、そりゃもう解り合えないよな。戦争しかないよな。
糞みたいな人生を歩んできたデンジくんにとって「普通」の人生こそが幸福で、憧れで、夢だった。
その夢はアキくんとパワーちゃんのお陰で叶えられたけど、それもまた糞みたいに奪われてしまった。
また糞みたいな環境に逆戻りした上、もう「普通」を知ったデンジくんは満足しかけてしまっていた。
そんなデンジくんに約束を渡して、パワーちゃんはいってしまって……
パワーちゃんの頼みとなれば立ち上がらずにはいられないデンジくんはホント良い子。
普通に憧れてきたけど、結局馬鹿で他人のいいなりな自分じゃどこまでいっても変われない……と嘆くデンジくんにそれこそが「普通」なんだと説くのが少しだけデンジくんより大人なコベニちゃんだったんだなぁ。
ここでデンジくんはようやく気付く。「普通」は必ずしも良いだけのものではないんだって。
夢にみた「普通」は体験した。
その上で「普通」は良いばかりのものではない事も悟った。
だったら自分はどうすればいいのか、どうしたいのか?その答えは…………はい。ご覧の通り。
ステーキとハーレムとセ○クスでした。
変身した自分がみんなのヒーロー、チェンソーマンになった事を知ったデンジくん。
ここでエモいのは「俺すげえ!」じゃなくて「チェンソーマンになりたい…!」ってなった事。
ちゃんとデンジくんはみんなが見てるのはただのデンジじゃなくてチェンソーマンっていう偶像なんだって理解してるんだよね。
その上で、みんなの憧れた通りの自分でありたいって、感謝されまくってモテモテなみんなのヒーローになりたいって、そんな夢をみた。
その姿は誰もが知っている、「ジャンプ主人公」の在り方に他ならなかったんだなぁ。
最終決戦直前のここにきて、「少年ジャンプ」の原点回帰すんのヤバすぎでは???
アキくんは報われない最期だったって言われることもあるけど、まだ決まってないと思う。
だってデンジくんにはチェンソーマンになるって夢がある。パワーちゃんを見つけに行くって目標がある。
普通を夢見るのをやめたデンジくんは今、幸せを夢見ている。
デンジくんが幸せになればアキくんの勝ちだぜ
勝機の見えないまま最終決戦に臨む事になったデンジくんだけど、考えてみたら比較的序盤に「無限再生!弱点なし!」のクソエネミーである永遠の悪魔をギャグ時空に引きずり込んでゴリ押しでぶっ殺した実績があるのであんま心配はしてない。
てか大抵のボスはギャグ時空で勢いのままぶっ殺されてる。