てっ、てっ、てっ
半ば夢の中、残りの意識で耳が足音を拾った。猫が歩いてきているらしい。
肉球だけが床を叩いている。爪が長いときはチャッタ、チャッタ、と爪先がフローリングにあたって弾む音も加わるのだ。足音までかわいいなどと、まったく度し難い生き物である。
iPad用にBluetoothのキーボードを購入したら、三日で壊れてしまった。おそらく安物に手を出したせいだろう。泣く泣く壊れたキーボードの墓を作り、新しいキーボードを購入し、届くまでは横に長く伸びて寝ている猫の背をキーボードがわりにブラインドタッチする日々だ。