『鳥篭少女』(F群/港川一臣)
お屋敷で暮らす、翼を持つ少女たち。心地よい閉鎖空間と下界への恐れ、そして片割れへの感情。いずれ離別しなければならない二人の「巣立ち」が哀しくも美しく描かれています。
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『秋田詩片』ほか(秋田モルグ/器械)
少女とSFとビザールが融合した、やわらかさがかすかな不穏さに翳る作風が魅力的。親近感を覚えるキャラクターが多いのは、モチーフの扱い方がうまくイメージの共有がしやすいからでしょうか。
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『寛解の日』(メタルタクラフ/植下)
欲求から生まれた技術が発展するSFと、発展させた技術が欲求に帰結するSFが好きです。そういった思いを新たにさせてくれた一冊でした。秋の肌寒さと日差しのほの暖かさが同居した切ない読み心地。
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『コミュ障VS百合』(ひみつせらぴー/ひみつ)
コミュ障メガネ女子が出歩く先々で働くお姉さんに求愛される4コマ漫画集。軽いギャグテイストですが、一方でお姉さん達のアプローチは職業ネタをきちんと拾っており、テーマと向き合う真摯さが感じられて点数高いです。企画はかくありたい。
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『ザコ絵師ちゃん日記総集編』(いさりび屋/さりい・B)
自作絵を公開しては反応の少なさにネガる、哀しき承認欲求の奴隷ザコ絵師ちゃん。絵描きあるあるどころではない底辺ぶりが最高のエンターテインメントになってしまう。かわいそう。自分に負けないで。私はぐろ絵師さんが好きです。
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『十人十食』ほか(ムカデ島/窓)
有体に言うと食人テーマがメインです。良くも悪くも描写が生々しいので要注意。冒涜的な内容なのですが、妙にゆるく朗らかな雰囲気と、至るところに作者の洽覧深識ぶりが滲んでいて、知らぬ間にのめり込んでしまいます。ちょうどいい温度の危険な沼。
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『トナリノトナリニ』(きつねのおやど/稲荷)
距離感が極端なくせに執着の強い人外女子が性癖なのですよね。正体を現すタイミングと変形プロセスが絶妙でした。希釈せずに濃いまま味わいたい作風。
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『巣立ちの火』(やまおり/折山漠)
表紙買いしてよかったシリーズの一冊。画面構成がキャラクター心理の演出ともいい具合に噛みあっており、言葉選びへの入念さを感じさせるセリフのやり取りも含めて、シーン作りの巧さが光っていました。
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『バイ・マイ・サイド』(murasakino/紫のあ)
私は面食いなので、よく立ち読みもせず表紙だけで購入を決めます。これもそんな一冊。即決でした。白が基調の美しい装丁が目を惹きますが、内容も繊細で上質な百合物件です。『来週、雨が降ったら』もイージーでない関係性を楽しめてお勧め。
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『吸血鬼と人権』(犬の一生/鈴木りつ)
ファンタジー世界の住人の設定を一歩先まで深掘りされていると嬉しくなっちゃいます。この一冊も気になって購読したのですが正解でした。設定先行に留まらず、気付かぬうちに壁際に追い詰めてオチに強烈な一発を打ち込んでくるような構成も見事。
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『脳姉妹』(PELL/ペル)
やべー本なんですよ(褒)。姉が大好きすぎる妹が姉の脳を取り出してシワを増やして賢くしてあげるという、シチュエーションは無茶なのにストーリーは疾走感がありつつ一貫していてキャラの感情にもブレがなくオチは爽やか。チョコミント闇鍋みたいな一冊です。
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『さくらの森の満開の下』(げっぺるさんが通る!/華沢寛治)
復讐劇の昏さから逃げずに、情念の煮詰まった生き様を描いていて好感。ひりつく読み心地ですが読むのを止められない引力があります。このお話が描けるなら…と「その次」にまで思わず期待してしまいました。
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