そんなことが何度もあって、さすがに不審に思っている様子のアレクだったが、当然、どんなに問い詰められてもフィオにはその『秘密』を口にすることはできなかった。
フィオは『何でもないよ』と笑顔を作る。
しかし、それはどこかにぎこちなさの残るものであった。
「ま、待ってくれ!フィオっ!」
しかし、そんな彼女の決意に悲痛な叫びが待ったをかけた。それは顔をこれ以上ないほど悲痛に歪めた父の姿であった。
結果として、その「攻撃」はフィオの障壁を「素通り」して無防備な彼女の身体に当たった。
そんな存在がどうして生きていて、こんな宿屋に奇襲を仕掛けてきたのか?困惑するフィオに魔族の女は、くすくすと笑いながら告げる。
「私を●したお前……だからお前も同じように痛みを味わってくれよ!」
瞬間、魔族の目が赤く光り、肉体に見たこともない力の奔流が溢れる……これは魔法?
魔族……人類に害を与える魔物、その魔物が知性を持った存在。それらは例外なく、B級以上(ハイランク)の冒険者によって討伐の対象になりうる危険な存在…
それは二人にとってのファーストキス……お互いの初めてを交換した二人は約束します。「フィオが無事に帰ってきたら、彼女はアレクの恋人になる」と。
そんな約束をして、二人は別れたのでした…
他の誰でも、そこまで本気にはなっていなかった。
皮肉だが、「杏奈とエロいことをしたいから頑張れた」というのは、まじりっけなしの真実だったろう。
そんな盛生が情熱を一心に注いでまで執着する杏奈に価値がないはずがない。だから卑屈になる必要もない。堂々と、正人が好きといえばいいと。
盛生は理解した。杏奈は正人が好きだ。だが同じくらい、彼に嫌われることを恐れているのだと…。
そんな彼女が出したのが、現状維持という答えなのだと。だから、二人は仲がいいように見えるけど、付き合ってはいないという関係を続けているのだと。
彼の考えとは、簡単にいえば「数打ちゃ当たる」行為である。元々、一回でオーケーしてもらえるとは思っていない。だからこそ、何度も何度も杏奈に告白していくスタンス。
そして、断られるとまた彼女の前で自慰を行い始めたが、これにも理由があった。