必死に取り繕うも言葉はうまく出てこない。
というよりも、雪華を前にして今の春斗は自分をうまく取り繕うことなどできないのだ。いつもどこか焦っていて、鼓動が早くなって、冷静になれない。
それは彼が本気で幼馴染の彼女に好意を持っているからなのだが……そんな彼を見て、雪華はにこりと微笑むと
梨花…俺が妹のように可愛がっていた従妹…彼女はこの一年であまりにも変わってしまった
そこにはもう俺の愛でていた純真無垢で愛らしい少女の姿はなく、ただ性に奔放で男を誘うだけの一匹の立派な雌がいるだけであった
失望と喪失感、嫉妬そして劣情…ないまぜになった感情どう表現すればいいのか?
大きなパーカーのせいでまるで「履いていない」ように見える。その事を指摘すると、小馬鹿にしたように「下にショートパンツ履いてるから!妄想も大概にしておきなさいよね、キモすぎ(笑)」と罵られる。
さすがにそこまで言われればいらっとしたので、それなら確認させろよと要求し、奈子は承諾した。
しかし、どれだけ口にしようと彼女は頑なに信じようとはしなかった。夫に愛人がいる事や子供がほしかったのに産めなかった事等…
まだ付き合いが短いので何がコンプレックスでそうなってしまってたのかは想像するしかないが…根が深そうな問題である。だが、俺には許せなかった。こんないい女が何故…
その言葉に顔を赤くしながら、前向きに今後を語る彼女。(どうやら旦那と復縁を目指すみたい?だ)
少し…いやかなり…実際、めちゃくちゃ惜しい気もするが、彼女がそれを望むなら俺は仲間としてそれを応援しようと思う。俺は「頑張れ」と一言応援し、彼女はまた「ありがとう」を言った。
もし仮に、彼女が領主を害したり、彼の機嫌を損ねればその罰は彼女のみならず周りにまで及ぶ事は容易に想像できる。
テレサがその事を理解している事が男にはもちろん分かっていた。だから優しく、丁寧に、諭してやる。
たった一年、その身体を好きにさせるだけで全てうまく行くと…