購入した物が禄に使われず置物と化してしまった例は枚挙にいとまが無い。というかそうなってしまった物の方が圧倒的に多い。いや、自分がいらんものを買ってきすぎなのかもしれない。うちの猫と自分の趣味がつくづく合わないのだな、と冷静に考えるとしみじみ悲しい。
特に寝起きの猫はぐんにゃり柔らかく、あたたかく、どこまでもやる気が無い。目に光も無い。なんせ寝起きなのだ。多分自分が今どういう状況かもいまいち把握できていないのではないだろうか。それとも、何もかも眠気の前ではどうでもいいのだろうか。永遠にどうでもいい存在でいさせてほしい。
ごろごろ音を長く長く聞いていると、なんとなく海鳴りに似ている気もしてきた。猫の体には心臓の代わりに海でも入っているのかもしれない。猫は液体っぽいので、納得がいく気もする。猫海は温かな水で満たされていて、くらげや蛸が平和にぷかぷかと漂っているのだ。
終焉の折り、天から無数の猫の鳴き声が地上に降り注ぎ、荒れ果てた大地は巨大な猫が丸まった毛皮の中心部に果てしなく吸い込まれ落ちていく。かくして世界は1匹の猫に収束する。世界を支えていた亀を背に乗せて猫はぽてぽてと移動し、いつかまた、次の世界を毛玉と一緒にケロケロと吐き出したりする。
これは担当さんに「すあまのこのフォルム新しいですね」と指摘されて改めて自分で見てそうだなと思った腰掛けすあまです。