「洗礼」をかきはじめたのは、「猫目小僧」のときに一つ残していたテーマがあって、いつかこれを絶対かきたいとおもっていたからそれをかいた。脳味噌を入れ替えて、そこから先、人格が変わっていって、しかも顔つきまで変わっていくというところをかき切れていなかったから。
#楳図かずお
(漂流教室について)
これは「親離れ子離れ」の物語なんです。冒頭の朝、親子げんかで翔が「もう二度と帰ってこないから!!」と捨て台詞を吐き、お母さんも「もう二度と帰ってきてほしくないわ!!」と言い返す。あれが結末を予告しています。最初から決めていたことでした。
#楳図かずお
「わたしは真悟」の時は日本という島国に合わせて、イギリスとかキプロス島とか島を取り上げてはつないでいったんですけどね。地球全体は一つの塊だから、その上に地上の部分部分が乗っかっていても地面の下ではつながっているから、何か一点で起きたことが全体に広がっていくような気がするんですよ。
どこかで想像の世界の破滅だったものが、想像ではなくて、もっと現実になってしまう。やはり未来は暗いのかもしれないと考え込んでしまう。そうしたことを現実として捉えだしたのが、「漂流教室」なんですね。すぐそこに破滅があるかもしれないという危機感がありましたよね。
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