ただ、ナオキにはとうとう「女子側の視点で自分を省みる」機会が訪れなかった。彼は女子への憧れの残滓でVRの自分を作っています。華奢な体にまとわる軽いスカートの感触を手に入れた。でもそれは「女性を理解した」ということとは全く関係のない、ただただ身体だけを手に入れただけの話。
あとビートセイバー的なやつ…とも子はVRエアプ勢なのでビーセイやったことないんですけど動画見るのは好きだったのでオマージュさせて頂きました。(最近FGOのCMでも見たぞ)ホナミが2刀振りのイメージしてるのはブルース・リーのヌンチャクですね。ここでホナミの世代のヒントがちょっと出てる。
noteのあとがきでも触れましたが、ナオキの女子に対する憧れは、客観的には完全に間違ってるわけです。「見て見ぬフリしつつ、自分たちのテリトリーを作る」のだって処世術だし、その中でささやかないじめの構図に心を痛めていた女子がいなかったわけでもないでしょう。たぶん。
ホナミもフラグを立てつつ(最初の連載は月イチペースだったので、一応そういうの意識してました…)ホナミ自身にも、自分がVRにログインできる間にナオキに何かあげられないか…という焦りがあったんだろうと思います。ここまでずっとナオキの話だったのが、徐々にホナミにお鉢が回ってます。
ホナミが「タレント」だった事に気づいたナオキは強烈な疎外感を感じ、自己卑下を閉じ込めようとして一人その場を離れますが、彼はこれを「泡立つ心を抑えてフラットな自分を取り戻すため」の行動だと思っています。それはたぶん今後もナオキという人間のパーソナリティとして変わることはない。
現実の社会は、ナオキにとってはただ生命活動を維持するためにいるだけの場所で、当事者意識を持てない場所です。一方ネット上にはまだ居場所がある。でもそれも「存在するだけで非難されることはない世界」というだけで、VRのコミュニティもナオキにとって別段居心地のいい世界、ということもなく。
だからこそ、ナオキはそれを「人生からまるごと逃避したいんじゃないのか」と言われて、虚を疲れた形になります。ナオキ自身も自分の行動に逃避の要素があることなんてわかってるんです。その上でやってるんだから、野暮なこと言ってくれるな、という話でしかない。本来は。
「世界中を巡る旅」言うて2Pで終わって3P目からベッドシーンなんですけど、この話はナオキが「自分の事を相手に話す」という形で、ナオキなりにホナミに報いようとさせました。(現実的には自分語りしている中年男性ですが。)
難しい話は以上で、3話はすごい心残りがあって、とにかくコスプレのシーンをちゃんとやり直そう!と固く心に誓っていました。あとモブがめちゃくちゃ多いのは単純にしんどかったです。デザインはVR界隈の著名なアバターさんやVtuberの意匠を参考にさせていただきました。