一方、ホナミは自分が女性とコミュニケーションを取って得てきた感情を、女性の姿を借りた自分ならナオキに与えられるんじゃないかと試みます。ホナミの中に、女性性と母性が同時に発生してるカオスな場面展開で、この漫画が本格的にネジ外れてくるのがこのへんかなと思っています。
「バーチャルセックスって何なん?」「現実的には男性同士で自分のアレをナニするんかいな」そこは話の本質じゃないわけです。その行いによって与えられるものがあると確信していれば、あとはゴーorステイです。ホナミの殺し文句が浮かんだ時点で、とも子の中ではセックスが成立しました。
ナオキには複雑な感情でそれを受け止めるものの、少なくとも「おもしれー女」ということではなく、ただただ「好意を打ち明けられたら、自分の人間性と向き合わざるをえない」という事の重さに打ちのめされてしまう。でも確かに恋は発生したんだという、そういう姿勢で営業している漫画です。
絵的なところでは、ホナミの衣装はヒッピースタイルを意識してて、そのへんも年齢感が出たらいいなと…。ナオキ運転してますが免許持ってません(お金も時間もないので)。背景がオーストラリアモチーフなのは、なんか一番平たく「冒険感」が出るだろうと…さばんなちほーで愛を叫んだ中年。
ナオキにとってネット上、VR界隈の何がしんどいのかというと、ここはここで「アマチュアからタレントが生まれることを常に望んでいる社会」だと言うことです。多くの人がただ交流を楽しむだけで満足しつつも、どこかで「そんな人達の中にこんな才能の持ち主が!」的なスターのストーリーを求めている。