第二幕
文明開化の明治にあって権力も持たず、剣一つで何が出来るのか、という山県の問いへの答え。『るろうに剣心』の連載開始は1994年と今から30年近く前なんだけど、すごく今っぽい主張にも感じる。 
   第三幕
西南戦争で父親を失った活人剣の道場主 神谷薫に続いて、没落士族の少年 弥彦の登場。この辺り、本当にテンポ良く明治維新の闇を出してくるのである。剣心が弥彦の尊厳に寄り添う姿勢なのも良い。 
   第四幕
剣心の出番が少ない分、薫の技量と人の師としての覚悟、若年ながら世慣れている弥彦の洞察力と矜持がしっかり描かれていて、なかなか良い回。 
   第五幕 ここから左之助回編
本作が少年漫画の色を濃くするに従ってバカキャラにされてしまうんだけれど、当初の左之助はニヒルでハードボイルドで知的な土台があった上で、喧嘩で全てを解決する人物像なんですよね。 
   第六幕
「こいつはもっといい代物よ」痺れますね。
比古清十郎について「和月が憧れる男臭さを集めた」というなことを書いていたと思うんだけれど、和月伸宏はこういうマッチョなかっこよさを描くのも上手い(のだが、それを本筋にしないところが良い) 
   第七幕
西南戦争で父親を失った活人剣の道場主 神谷薫
没落士族の少年 明神弥彦
ニセ官軍の汚名を着せられた赤報隊の生き残り 相楽左之助
まだ7話ですけど、出ますねぇ維新の闇。 
   第八幕
笑顔で倒れる相楽左之助、めちゃくちゃかっこよくないですか?
左之助は剣心の剣術ではなく、剣心の理念に負けたので、そういう意味でもこの頃の左之助はとても知的なんですよね。 
   第十一幕
『るろうに剣心』は当初は刃衛編までだったらしいんです。
殺人剣を捨てた人斬り、活人剣の道場主、没落士族の少年、赤報隊残党の喧嘩屋、横暴な元維新志士と明治維新の闇を並べて、最後の敵が剣心とは対照的なもう一人の人斬り鵜堂刃衛という構成なんですね。めちゃくちゃ筋が通っている。 
   第十二幕
剣心と刃衛の戦いは視点の入れ替えが巧みで、最初は狂気の人斬り 鵜堂刃衛と戦っている剣心の視点なんです。剣心の読みの上を行く描写を入れて刃衛の強さを表現する一方で、この後への布石を打っている。 
   第十二幕
薫の命が危険に晒され、剣心が人斬り抜刀斎に戻る。この辺りから視点が刃衛に移っていて、伝説の人斬りに直面する刃衛の緊張感を味わえる。また、今までは読者との距離が近く共感できる存在だった「流浪人 緋村剣心」と違い、「人斬り抜刀斎」は読者から遠い存在として描かれている。