聞こえた「右」の声。
声を頼ってハルトマンの決死の一撃を躱した東耶達の元に現れたのはシュレーディンガー。
予期せぬ再会、いや出会いだった。
項羽達との戦いで死んだはずの彼は、手短に自らに起きている事、
そして世界に起きていることを説明した。
それ故、東耶達の勝利を手助けに現れたことを。
東耶たちに檄をとばすと、先を急がせた。
ハルトマンが執念で切返してきたからだ。
天園は真下、東耶達が穴に飛び込むのを見届け、リリエンタールの翼は空に砕けた。
翼は砕け、空に堕ちるリリエンタールは不思議と安心感の中にいた。
同じく負傷落下中のシュレーディンガーはお気にブラシの焦げに怒っていた。
そしてゼノン救援を急ごうといった。
もっともらしく諦めを匂わすリリエンタールにシュレーディンガーが語る。
それは廻り者としての振る舞い方、生き方のひとつの指針だった。