ジョージ秋山「シャカの息子」
ジョージさんが"良心"を作品内で否定し、その象徴として産み出したのが"シャカの息子"なのだが、物語は結局その詳細が語られないまま終わるため、読者は一律に「これは一体なんだったんだ?!」という疑問を抱きつつ本書を読み終える羽目になる。
しつこいまでに入る柱コピーが当時の児童向け漫画のオマージュも込めており、色々踏襲している感じは窺えます。
みやわき心太郎「親さがし捨吉!!」
首にドスが突き刺さったおじさんと地を這う赤子というジャケが素晴らしい。夢の島に捨てられた捨吉と遺産相続の渦中にある陽子が偶然出逢い、16年前の回想と合わせて物語が進む流れは面白い。構成力もさることながら、無駄のないみやわき先生の筆致が冴える佳作だ。
中田雅喜氏は昔から自分の事を漫画で描かれることが多いようで、当時の作家陣の中では比較的人柄も窺えた方のようですね。
中田雅喜氏の「桃色三角の逆襲」は話が繋がってるのに作品のジャンルが回ごとに変わる(おしかけ女房学園コメディ→バレエもの→超能力SF→不幸少女ドラマ→バレーもの)もの凄い仕様で、読んでいてかなりコーフンさせられた。
サラッと空中浮遊してみたり、意識を遊離させてブラックホールに飲み込ませようとしたり、太陽を近づけて燃やそうとしたり、おおよそ麻雀漫画では飛び出さないロジックがてんこ盛りの本作こそ、麻雀漫画における"超えられない壁"の一つとして存在するのは間違いないと言えるだろう。(超えなくてもいい)
志村裕次/みやぞえ郁雄「真・麻雀伝説 風の雀吾」
「麻雀鳳凰城」のコンビが放つ麻雀スペクタクル。世界を滅ぼす十二の雀技が解放されてしまい、技を操る刺客達との死闘を描く。僅か2冊の単行本の中に十二の雀技全てを収め、かつ個々のキャラや話のオチまでキチンと描ききる異常な構成力は必見だ。
その上がりに上がったテンションは最終的にどうなるのか!? ラストで宇宙コースターに乗ることになった陽太(は?)が謎の秘密結社との対決の末、太陽系の全エネルギーを集め放つ超大技を繰り出して締めるという大スペクタクルに着地。
万難を廃してでも読むべき大傑作と言えよう。