いわば腐海「総体」として見た場合、一定の多様性を確保しておいた方が、地球浄化という「目的」に対しても都合が良いわけですね。一定のイデオロギーに奉仕すべく管理された多様性…現代のあれこれを考えてもなかなか示唆的ですね。
#ナウシカ 五巻大海嘯編のアニメージュ連載号が漸く揃ったのですが、案の定というか「虚無」の部分がえぐい程加筆修正されていました。特に二度目の出現で、ナウシカの手は血塗れではないかと批判する部分(142-143頁)は全面新規だったりします。
そして「生物表現の削除」は連載版からの場面・台詞修正となって現れます。即ち、連載版では墓所は自らの「心臓」を「暗黒の中の唯一の光」といい、これに対しナウシカは「肉腫としみだらけのあわれな光ゴケ」「死ぬことも生きることもできない生き物」と返しています。
まず正当性についていえば、僧会の統治はおよそ善良と言い難い点があります。僧会は部族間対立を上手く調停できず、民衆は僧会を収奪圧政者としか見ていません。僧会による民衆教化すら、民衆に混乱と絶望を蔓延らせるだけでした。
お晩です。今宵の漫画版 #ナウシカ 考察は、お題箱でリクエスト頂いた、ナウシカ達における「家族」の位置付け見ていきたいと思います。と言いながら実は、漫画版においては「家族」に関する描写は意外な程シビアーよくて淡白なものになります。
7巻終盤は更に悲惨で、ヴ王のシュワ奇襲に全く組織的抵抗ができず、雁首揃えて降伏しています。シュワ周辺は大海嘯の被害もなく、時間的猶予もあったにも関わらず、防衛戦力すら集められない時点で、僧会幹部の実効権力喪失は明らかでしょう。
一方、漫画版は長編になることもあり、
・ヴ王のスパイ→クシャナへの転向
・優れたコルベット操縦技量
・「平民出」ゆえのフラットな視点と人心掌握の巧みさ
という、より複雑な人物造形となります。実はこの、漫画版から映画版に作り直す「過程」に、かなり興味深い設定が見えるのです。
#ナウシカ 、アニメージュ93年12月号を手に入れたのですが、シュワ入城直前の場面もかなり変わっているようです。左が単行本版、右がアニメージュ連載版なのですが、墓所への言及がかなり変わり、ナウシカの葛藤に焦点が当てられている所が興味深いです。