ドラえもんって時々こういう、お前どこ見てんの?っていう表情しますよね。恐らくこれは石ころ帽子(他者から自身の姿が見えなくなる道具)の回の最後のコマだと思うんですがドラえもんだけ未だにのび太を認識できないみたいで何だかゾッとするんですよ。無感動、無関心すぎる。こういうとこが面白い。
頭の弱さ、気の弱さ、意志の弱さ。漠然とした不安と、惰性に起因する取り返しのつかなさ(の暗示)。そういったものを描かせたら華倫変の右に出る者はいない。ヒロインは常に冷や汗をかき、焦点は定まらず、口は半開き。
華倫変『カリクラ』より。くそったれのクズである三好一郎がヒロインに電話するこのシーンがとても好き。堕落した、世間様に顔向けできないような、かったるくも甘ったるい、腐りかけの恋愛が息の根を止める時。めちゃくちゃ身につまされる。