→さらにややこしいのは、私のマンガはこれが「怪奇大作戦」の1エピソードとして作られていたら、という架空の裏設定で描いています。当然明智探偵や警部の顔はあの人やあの人に酷似しています。
『パシパエーの宴』⑨「day dream」
「九龍」vol.2 河出書房新社 2002年
セリフのないマンガは「遠くへいきたい」以外にもときどき描くのですが、いかにふだん言葉で楽しているかわかります。画だけで伝えるには工夫が要りますがでもそれが楽しい。読者は不安になって「正解」を欲するようですけど。
『パシパエーの宴』⑦「冷蔵(庫)人間第1号」
COMIC CUE NO.9 a little wonder 2001年
短編というのは一コマ目で眼が覚めると既に異常事態で説明しなくていいのが楽ですね。にしてもこれはいったいなんで描いたのか。たぶん怪奇大作戦の冷凍人間からの連想に半村良「ボール箱」が結びついた?
→主人公の抵抗もむなしく……(以下は本文をお読みください)。主人公のモデルは田村信さんや古谷三敏さんやゆうきまさみさんのマンガにも登場する元小学館の名物編集者・福田孝さんです。この号が載ったモーニングが、出社したら机の上に置いてあったそうです。
『パシパエーの宴』③「カラオケボックス」
コミックモーニング1993年4/22号
レンタル店と同じころカラオケ店も街に増えていきつつありました。前者はサブスクの時代消えつつありますが後者は一大産業になっています。私自身は実はあんまりカラオケをやらないのでネームはやや悪意に満ちていますが→
→されています。いま読むと「怪しい宗教と政治の絡み」という現在進行形の問題にも触れています。牛頭獣身でもクダンなのか?との声もありますが、表紙カバーのような怪物は作中には出てきません。ただ、タイトルがパシパエーなのでここで描くのはミノタウルスタイプが順当であろうと思った次第。
『パシパエーの宴』①「パシパエーの宴(うたげ)」
コミックバーガー増刊「黄金伝説」1991年
いわゆる“クダン”を扱った作品。私の場合個人的な興味や研究とマンガの仕事は必ずしも結びつかないのですが、これはクダン伝承探求とニュースウォッチャーという二つの趣味(趣味なのか?)が作品に反映→
『トマソンの罠』⑦「石の声」コミック'95春号
お読みになればわかるとおり『石神伝説』の序章的な短編で描く前からその意識はありました。『石神伝説』本篇にも改稿の上収録しています。いちばん変わったのは真理ちゃんの顔で上が「石の声」版、下が『石神』版。
『トマソンの罠』⑥「帰郷」
コミック'95summer special
ページ数が短いのは他の仕事との兼ね合いでこちらからお願いした記憶。そのページ数から逆算してシンプルな話にしました。主に郷里の人吉の風景を使っていますが別の地方都市で撮った写真も参考にしています。このラジオ店は尾道市内のもの。
『トマソンの罠』⑤「雪の宿」コミック'94冬号
90年代の中頃は年越しをを青森県の谷地温泉で迎えることが多く建物や浴場のモデルにしています。どんど焼きと国生み神話を結びつけて描いていますが、もちろん現地にはそんな謂れはありません。カメラマンの顔はちょっと岸田森っぽいですね。
『トマソンの罠』③「鰐」コミック'94真夏号
実際に都内の池でワニだかワニガメだかが見つかって騒ぎになっていたのに触発され、ややコミカルなノリで描いてみました。作中の池は井の頭やら善福寺やら複数の公園の合体です。オジサン達の顔は昔の落語家さんをお遊びで使っています。