「サイヤ人が働かない」というのは鳥山明一流の嗅覚だったと思う。今でも世界には男がちっとも働かない地域があって、大抵戦闘民族みたいな人たちだったりする。男の仕事は戦って奪って死ぬことだったのだろう。人類において、むしろそうした時代のほうが長い。
冷静に考えるとこのおばちゃん相手にずっとガンダムの話ってかなり高度よな。任務として命令されたとして(誰に・なぜ)キミならどう攻める。「ガンダムって知ってますか」だと「知らない」で終わりだろう。「エルメスって知ってますよね、実はガンダムで…」とか、これをずっとだ。意外と凄い奴だぞ。
「アドルフに告ぐ」より。歳月を重ねるごとに手塚治虫の有り難みが際立つ。単なる事実ではなく、こうした微妙なニュアンス、印象を遺せた作家はほぼいないのではないか。漫画だからこそできるのである。我々はこれを日本人の永遠の戯画、忘却も悪罵も嘲弄もできない自画像として反芻することもできる。
「プライム・ローズ」は、手塚治虫(当時54歳)が「ライバルは吾妻ひでおだ」と、自身の性的嗜好をかなり踏み込んで追求したと思しき形跡がある。あるが、手塚の嗜好というと本来ロリコンとかのヌルいレベルではなく「オッパイのついた馬」とかの高度過ぎる世界なので、ガキ共は読んでて途方に暮れた。
漫画家ってすごいよね。普通まったく描かれない水木しげるを像を的確に捉えてさらっと描いている。要素抽出と魅力的な再構成。この能力が一番すごいんだよね。
このシーンが強烈に印象に残っていて、好きで、これは要するに「主人公が圧倒的に強い」というカタルシスが展開の駆け足具合を上回るのだった。キカイダーの「軟弱」が見事に裏返るのである。
「ど根性ガエル」の文化史的な意味は侮れない。意外とこれが当時の子供の風俗を最も活き活きと記録しているのではないか。「屋台のおでんが子供にとって小躍りするほどのご馳走で鍋持って買いに行く」なんて他で見たことない。おっさんが酒飲んでる映画は山程見るのに。しかしなんたるバイタリティ。