表紙・サンプル共に普通のイチャラブエロ漫画かって思ってたらレビューに「怖っ」とひと言だけあって気になりすぎて買った七保志天十先生『TABOO』、とんでもない。想像を遥かに超えた禁忌。フラグ的なシーンや、アナザーストーリーの存在など、エロゲー的楽しさもあって無駄のない凝縮された100頁。

太宰治が『女生徒』で少女心理を言い当てたなら、この漫画はどうだろう。女性が共通に隠しもつ「喪失」の記憶をあまりにも酷に描き出してしまった。「リアル」なのが凄いなら、最も痛ましいのが「喪失」のリアルだ。女性ファン多数の町田ひらく先生『小さい躰に白い蔭』は、痛みに洗礼されるような傑作

「私の居場所は私の延長線上にある」…放課後の学校、欲望を貪る少年少女、ありきたりな設定が、犬先生の手にかかればどこか奥行のある世界になってしまう。憧れた人の淫行に軽蔑と羨望を抱く少女の話「empty」は、名前もつけられないような感情の時代を過ごしたことがある人に贈りたい黒い春の逸品…

いつでもそこにいて、欲望を全て受け入れ、寂しそうに微笑みかけてくれる少女達はあまりにもフィクションすぎて自己愛を投影した人形のよう……「主体性」に疲れた私たちの心を癒してくれ、必ずしもストーリーとして完結しない八的暁先生『蔵の中のアリス』は、最期の時に見る夢を思わせる…

新堂エル先生の描く「くびれ」が美しいものに昇華している説もある。 半額なう👯‍♀️ https://t.co/HIjnJQlACf

エロかわいい版『闇金ウシジマくん』かよ、と思わせるほどの転落ぶりに息をのむ新堂エル先生『変身』。「変身」は冒頭の高校デビュー以外にも何度も行われ、「変身願望」とは即ち「自己追求」に他ならないのだ、と気づかせてくれる。痛みを伴っても、汚れていても、それは美しいことのように思う。

もし地球が4日後に滅びて助かる術がないならどうする？そりゃ好き放題イイことするでしょ！ってありそうでなかった設定を、「切なさ」を損なわずエロに落とし込んだ『ハローグッバイ』…「実用性」にﾀﾋぬほどうるさいFANZAレビュアー達に「使えなかったけど良かった」といわしめるのも納得だった…

「不思議ちゃん」なんてチープな言葉じゃ言い表せないレベルの【意図の読めないヒロイン】って、独自の思想がありそうでとても魅力的に思うのだけど、 この『中空階段』はまさにそれ。読後なお残される謎はエロに深みを増す。分かりやすい「狂気」とかにはもう飽きちゃったよって人にオススメ。

女の子には「自分が夢でありたい。エロスという女神として一瞬の中で永遠の偶像たりたい。」という願望があると思っているのですが、そのために、「完全に主導の性行為」というものが人生において必要で、それを完璧な画力で言葉通り夢のようにビジュアル化したのが『彼女が僕に微笑めば』という短編…

私の偏愛作家・海明寺裕先生のこれまた男性器の登場しないSM怪作『expose』、自分をバカにした女教師を「バカ」にさせちゃうという王道SMパターンながら、緻密にじっくり堕とすことへの偏執ぶりと、ブルセラショップに行ったりと変態シチュ満載が最高…『奇譚クラブ』との邂逅などのあとがきも嬉しい…

エロ漫画プロ・稀見理都先生が『エロマンガベスト100』に選出していた町野変丸先生の初心者向け傑作集『ザ・ベスト・オブゆみこちゃん』、見たくてもなかなか見れない「淫夢」の世界を堪能できるような超現実変態シチュが詰まっていて、「シュール」×「エロ」の唯一無二の魅力にはまってしまう傑作集…

変態紳士・淑女はみーんな大好きな三条友美先生のホラー傑作集『犬になりたい』、まさかの全年齢指定トラップで、いたいけな少女だった頃の私を濃厚な変態世界に引きずり込んだ思い出の作品。気持ち悪さと未知への恐怖に、陰湿なエロスがまとわりつく……伊藤潤二先生好きにもオススメの逸品。