「全然甘い」ママンに対する見立ての甘さが山田の姿勢をユルユルにして、「めっちゃ厳しい」ママンに対する警戒感が萌子に一種過剰な解決策を打たせたあたりもさすがのセッティングと言わざるを得ない。
厳しいと見ていた市川と萌子
対人感覚が扇子と団扇だった2人が並んで正解を出すという奇遇
だが山田にはなんら悪気はない。山田にとっての市川は「友達とりあえず今は」なので、誰に対しても「市川=友達」の振る舞いで問題ないと考えているはず。
「自分の価値観を周囲に憚らない」のはおんぶ回からの伝統芸。「男の子だけど友達だし…いいよね?」程度の豪気な脳味噌。
つまり山田ママンには、いずれ「市川は私の友達」だと「山田自身が明かす」形になるのか?
前回の訪問時に負い目が2点ほど発生した市川にも何かしら重要な役割があるはずだが、LINEの件と同様の流れなら、山田自身がケジメをつける事になる。
話をややこしくした一因はあの時以上に山田にあるしな。
萌子による彼ピ宣言、唐突に思えてしまうが、偽装とは言え「友達を経ての交際」だと捉えれば展開として段階を踏めているし、桜井先生絶対意図的にそうしただろこれ。LINEの件といい山田の一歩前を行くよな。
もちろん山田が踏ん切りをつけるためのブースターでもあるはず。
萌子とばやしこ・にゃあとの差は秋田犬キーホルダーの扱いに最も顕著に現れている。
単に「変な場所に犬付けててキモ…」だった2人に対し萌子はその時点の描写がなく、山田のけんたろう紛失時には「何かお探し?」と来る。
山田のみでなく市川自身の事もよく見ている訳だ。友じゃん…。
実際、萌子とは気軽に朝のアイサツをかけられるくらいの間柄にはなっている。あとの2人は明言どころか友人らしい関係性が構築されていない。
いや…ばやしこお前…一度だが市川に勉強教えてもらったりしたじゃないかお前…山田トークも2回ほど…お前…この仕打ち…!
で、山田は山田として。
萌子もまた、試作回発言の時点で暗に「市川も一員」と考えている訳だ。集合未遂からの市川回収の様子からしてもそれは明らか。
ではなぜ萌子まで市川を呼ぶ意識になっていたのか?
逆に言えば、萌子の宣言の時点で市川は「男子グループに加わった経験」のおかげで無意識に友人関係を感じている。「試作回の一員」に「自分が含まれている」と暗に感じられるようになった。
山田の「ねっ」は、効果としては「決定打」でなく「ダメ押し」くらい。
「男子グループに会話で加わった」段階が無ければ、「みんなでチョコ試作回!」の発言の時点で驚いていないはずだ
【女子みんなで試作回か…】くらいの冷めたモノローグからの、山田の「ねっ」でようやく【僕もか…?】となるはず。
前回(雑誌グラビア回)で「友達の距離感」について考えていた市川が、輪の外だったはずの男子グループに、「山田の話題」「足立の存在」「足立との関係性」を足場にした
「男同士の会話」で一環として加わった事がプロトタイプとなっている
バレンタイン試作回の冒頭
まるで輪の外だったはずの市川が「萌子からのネタフリ」「市川をセーブする形で割り込みつつ話を広げる山田」「なおも市川に話を振る萌子」「なんだかんだ流れに乗る市川」となり
最終的な居場所は山田グループの一環となってしまう