外地に動員される漫画家。売れっ子は軍の動向で視察、旅行記を書き、普通の漫画家は市街地のプロパガンダ壁画や手製紙芝居上演。楽に見えるが「文化工作」の当事者だから抗日テロの対象で賞金がかけられたり身の危険は十分。無名は普通に徴兵、死ぬ。実際、添付右のまんが書いた人はビルマで爆死。 
   田河水泡が書いた満蒙青少年義勇隊への勧誘パンフと
少年義勇兵を主人公とした「義坊」シリーズ。
「のらくろ探検隊」連載と並行して書かれる。
「のらくろ」の渡航が幾度も遅れる引き伸ばしは自分の読者を「動員」する忸怩だったのか。ちなみに義勇兵は諸文書では「武装」移民とも記載される。 
   1940年12月20日の満州日日に「翼賛一家」映画化の企画が報じられている。「隣組の合唱」のプロデューサーにロッパ映画の監督。ロッパ主演だったのか?実現しなかったが「翼賛一家」の話し合い後一ヶ月という速さ。
満州日日は内地よりインサイダーな映画情報が詳細に報じられる傾向にある。 
   上海で偽装中国映画制作に関与した劉燐波暗殺は事件の翌日、日本でも報じられるが、この日から彼の死を利用した一年間のメディアミックスが、東宝や陸軍報道部だけでなく芥川賞審査員も巻き込んで始まる、という論文を書いている。 
   「YA」次号、「東京オルタナティヴ」校了中。
ヒストリーメーメーカー=歴史を捏造する男、登場。
蟻塚虫雄の名作「火の猫」改竄事件を追う迷子と笹山。
新章、遺跡捏造編スタートです。 
   そういえば「黒鷺」の前の前の巻はKADOKAWAがオリンピックのオフィシャルパートナーだったのでタイミング的に五輪マーク入刊行を想定して、ちゃんとオリンピックネタにしたのになあ、と思い出す。いつの間にかマークが「六輪」になってるっていう話でした。ロゴ、いじるのスレスレなんだけど、つい。 
   当時の外地の新聞を見るとコンパスや定規を使った「満州のお友達」の書き方をたまに見る。満州以外の五族もあった気がする。田川の考案とも思えないが図形をつかた簡易なまんがの描き方は翼賛一家にせよアマチュアのまんが創作を動員しようとしていた翼賛体制の共通の思考のようにも思えてくる。 
   田河水泡が義勇隊の訓練所で漫画の描き方を教えた際、コンパスと三角定規を手配したとされる。それは当時の受講生のまんがにも証言として残る。教えたのは北斎式の略画か柳瀬正夢風の構成主義か、あるいはミッキーの描き方か。全て可能性としてはありうる。 
   「東京オルタナティブ」最新話原稿到着。
新シーズンは「神話捏造」編。 
   S20年、成瀬巳喜男「勝利の日まで」という「笑慰弾」を戦地に飛ばし、中から芸人が登場、一発ギャグをやる、という映画が作られるが、実際の焼夷弾を浴びている者の神経を逆撫でしたことは確実で、関西で被災した手塚治虫は同名の「勝利の日まで」という習作にリアルな焼夷弾投下場面を描く。 
   連載中止間際には農村の手伝いに駆り出される。
しかし基本「ネコなので役に立たない」というのが総動員思想にそぐわないのか、町内会まんがに切り替えられてしまう。 https://t.co/o6yHJzB5an