気になる少女マンガ(作家)を紹介。
『真夜中のシンデレラ』こいわ美保子 なかよしDX 81年
テーマと作風が見事に一致した奇跡とも言える一作。
破滅に向かうヒロインの行動から目が離せなくなる。
水野(英子)ロマンの流れをくむミステリーロマンを得意とする実力派だが、活動期間は5年程と短い。
『天を見つめて地の底で』髙橋美由紀 ホラーコミックス 90年 秋田書店
作者は少年誌デビューだが、少女ホラー誌『パンドラ』(87年)で『天、地』(略)を連載し注目されたストーリーテラー。
ミステリーボニータで『9番目のムサシ』連載中。
『天、地』はパンドラ休刊後、他誌にて継続。最終章は未完?
『失われた旋律』流水凛子 KCデラックス 90年 講談社
インド大好きな(エッセイ漫画の表記は流水りんこ)作者の初期のホラーの傑作。
初出は『ホラーハウス』88年 大陸書房
『ロングロングアゴー(久しき昔)』の歌が心に響く恐ろしく切ない物語…
拒食症をテーマにした『シルフィードの罠』ホラーハウス 88年 大陸書房 で強烈な印象を残した竹崎真美(敬称略)
今も『金瓶梅』連載中!
彼女得意の中華ホラーで一番のお気に入りを紹介します。
『金鶏のスープ』眠れぬ夜の奇妙な話Vol.11 93年 朝日ソノラマ
美しく深い珠玉のホラー短編です。
多彩な活動で知られる内田春菊さんは少女ホラーでも才気あふれる作品を発表した。
『呪いのワンピース』ハロウィン 89年〜90年 朝日ソノラマ
呪われた魅惑的なドレスは、今も生贄(少女)を求めて彷徨っているのか…
3話のハッピーエンドとも取れるラストが切ない。
妹(志摩)に「ホラー特集ならこの人を是非」とプッシュされた作家を紹介。
読めば背筋が凍る心理ホラーの名手です。
『嗤う花』円山みやこ ホラーM 95年 ぶんか社
人の業(ごう)や歪みを不気味な虫で表現する事が多いので、苦手な人は要注意!
この短編集の5作のうち最初の3作がそれです。
スタイリッシュなSFファンタジーホラー(?)
じわじわと異界が侵食してくる恐怖がたっぷり味わえます。
『空白の悲鳴』道原かつみ 95年 徳間書店
初出は『ホラーハウス』87年〜88年 大陸書房
『髑髏のはらわた』小野双葉 恐怖の館DX 93年 リイド社
呪われた街(村)というのはホラーの定番の一つ。
大胆な設定と斬新な表現で見せるモダンホラー。
ちゃんとヒロインの成長譚にもなっていて読後感は悪くない。
内蔵系が苦手な人は要注意かも💧
昭和40年代、少女フレンドに『ママがこわい』や『赤んぼ少女』等を発表して第一次ホラーブームを引き起こした楳図かずお(敬称略)
『ふりそで小町捕物控』週フレ S42年 講談社
全3話の読み切り連載、1話の反面美女が衝撃的で切り抜いておいたが、
裏写りがひどい…🥲
本棚にあった少女マンガ以外(?)の気になるものを少し紹介します。
『マンガ日本の古典14 吾妻鏡』全3巻 竹宮惠子 94年〜95年 中央公論社
とても読みやすく、史書のコミカライズの模範のような労作。
鎌倉時代の入門書にはぴったりです。
『ヘンデルとグレーテル』大友克洋 81年 CBS・ソニー出版
グリムやイソップ、古典や名作に題材を取る21遍を収めた、大判絵本風の換骨奪胎(かんこつだったい)作品集。
かなりブラックなので万人におすすめはできない。
『奇人偏屈列伝』荒木飛呂彦/鬼窪浩久 04年 集英社
世界の奇人変人を題材にした作品集。
クセのある作風がテーマに見事に合っていて、彼(彼女)等の歪んだ人生に光を当てる怪作!
謎の増築を繰り返す不幸な未亡人や、恐ろしいゴミ屋敷の兄弟の話が特に興味深い。