(4/4)
「兄貴は、
『馬の稽古をやめろ』
と言って、馬の先生に断りの手紙を出した。そのうえでおれをひどく叱って、禁足をしろと言いおった。それから当分家に居たが、困ったよ。」
(3/4)
「『大学』は、五、六枚くらい覚えたっけ。結局、両先生から世話を断られたが、嬉しかった。
馬にばかり乗っていたら、ついに銭が無くなった。そこで、お袋の小遣いや貯えの金を盗んで使った。」
(2/4)
それから聖堂の寄宿部屋、保木巳之吉と佐野郡左衛門いう先生の所へ行って、『大学』を教えてもらった。学問は嫌いだから、毎日桜の馬場へ垣根をくぐって行って、馬にばかり乗っていた。」
#はやおき訳
勝小吉12歳。兄・男谷彦四郎の仲介で学問を始めますが、毎日馬場へサボりに行き、ついに先生から世話を断られてしまいます。それでも乗馬をやめられない小吉は…。
マンガ『夢酔独言』十話(1/4)
#漫画が読めるハッシュタグ
(4/4)
「師匠にひどく叱られた。
頭の息子は、石川太郎左衛門といって、今は御徒頭を務めている。とんだ古狸で、何にも使えぬ、女みたいな馬鹿野郎だ。」
(3/4)
「おれも頭の息子が相手だから我慢していたが、あれこれ馬鹿にしてくるから、ある時木刀で思いきり叩き散らし、悪態をついて、泣かしてやった。」
(2/4)
「その稽古場に、おれの頭(かしら)の石川右近将監の息子も来ていた。そやつはおれの禄高やらをよく知っているから、大勢の前で、
『手前の高はいくらだ。四十俵では小給者だ』
と言って笑いおるのが常だった。」
#はやおき訳
勝小吉11歳。一刀流の剣術の先生に弟子入りしますが、稽古場に意地悪な先輩も来ていて、小吉を皆の前で笑い物にします。立場上我慢していた小吉ですが…。
マンガ『夢酔独言』九話(1/4)
#漫画が読めるハッシュダグ
(4/4)
「一度、伝蔵という借馬引きの馬を借りて、隅田川へ乗りに行った。土手を思いきり駆け回ったが、どこかの拍子で力革が切れて、鐙を片方川に落とした。そのまま、片鐙で帰ったことがある。」
(3/4)
「一度、馬喰町で火事が出た時、馬で火事場に乗り込んだことがある。今井帯刀という御使番にとがめられて、一目散に逃げたが、本所の津軽屋敷の前まで追いかけてきた。馬の方が足が速いから、とうとう逃げおおせた。
後で聞いたら、火事場には三町手前より近付くものじゃないそうだ。」
(2/4)
「おれは馬が好きだから、毎日門前乗りをしたが、ふた月めに遠乗りに行ったら、道で先生に出くわしてしまった。困って横丁に逃げ込んだが、次の稽古に行ったら、小言を言われた。
『まだ鞍にも座らぬくせに。今後は決して遠乗りはしないように』」
#はやおき訳
勝小吉10歳。夏に始めた馬乗りの稽古に熱中して、火事場に馬で乗り込んだり、土手を走り回ったりします。
マンガ『夢酔独言』八話(1/4)
#漫画が読めるハッシュタグ