勝夢酔(小吉)41歳、息子麟太郎(後の海舟)20歳。大病から回復した夢酔が、慣れ親しんだ本所に顔を出します。麟太郎は座禅を続ける一方、民という娘と知り合います。
マンガ『夢酔独言』百三十一話(1/4)
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「おれは十八歳の時、万国地図を見て大いに驚いた。この世界に生を受けて、ただ一つの国に収まっているのは、立派な男子とはいえない。万国を巡り歩かずいるのは、人として生まれた甲斐もない。
また思う、横文字といえど同じ地球人の書いたものだ、決して読めないことはないだろう、と。」
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「これまでいい友達もなく、悪友ばかりと交わって、良いことには少しも気付かなかった。法外な振る舞いを英雄豪傑と思い込んで、間違えたことばかりした。親類、父母、妻子にまで、どれだけ苦労をかけたか分からない。」
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勝麟太郎(後の海舟)20歳。麟太郎は高屋彦四郎(柳亭種彦)の手引きで、初めて万国地図を見ます。日本国の小ささに驚く麟太郎ですが…。
マンガ『夢酔独言』百三十話(1/4)
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※フィクション演出です。
麟太郎の修行期間が16~19歳頃であること、虎の門の保科さんちで両親と同居していたことを本人が語っているため、このへんで帰ってきてもらいました。
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「本所であんまり大っぴらに幅を利かせていたせいか、目をつけられて、その月の二十二日に、虎の門内の保科栄次郎という者の家に押し込められた。息子とは支配が同じだった。大病故に、おれは駕籠に乗せられて来た。」
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「金は湧く物のように使った。
その翌年、二月から体調を崩して、大病になったものだから、いろいろ療治をして、八月末には少し回復した。そこで無理をして騒ぎ出歩いたら、とうとう十二月初めから大病になって、体がむくんで寝返りもできないようになった。」
#はやおき訳
勝夢酔(小吉)40歳、息子麟太郎19歳。持病の脚気が悪化して、大病になった夢酔。同じ頃、天保の改革の一環で、虎の門の家に押し込められることになります。
マンガ『夢酔独言』百二十九話(1/4)
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「島田(虎之助)氏は、(勝海舟)先生に非常な才覚があるのを察して、こう助言した。
『剣術では、ただ一人の敵を相手にする。しかし君のような人は、人がやらないような物事を学び、大成できるだろう』
先生はそれより、蘭学を志した。」
#はやおき訳
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「初めはたゞ一人、樹木が森々と茂つている社内にあるのだから、なんとなく心が臆して、風の音が凄じく聞こえ、覚えず身の毛が竪つて、今にも大木が頭の上に仆れかゝるやうに思はれたが、修行の積むに従うて、次第に慣れて来て、後にはかえつて寂しい中に趣きがあるやうに思はれた。」
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「拝殿の礎石に腰をかけて、瞑目沈思、心胆を練磨し、しかる後、起つて木剣を振りまはし、更にまた元の礎石に腰を掛けて心胆を練磨し、また起つて木剣を振りまはし、かういふ風に夜明まで五、六回もやつて、それから帰つて直ぐに朝稽古をやり、夕方になると、また王子権現へ出掛けて、…」