勝夢酔(小吉)40歳、息子麟太郎19歳。持病の脚気が悪化して、大病になった夢酔。同じ頃、天保の改革の一環で、虎の門の家に押し込められることになります。
マンガ『夢酔独言』百二十九話(1/4)
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「島田(虎之助)氏は、(勝海舟)先生に非常な才覚があるのを察して、こう助言した。
『剣術では、ただ一人の敵を相手にする。しかし君のような人は、人がやらないような物事を学び、大成できるだろう』
先生はそれより、蘭学を志した。」
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「初めはたゞ一人、樹木が森々と茂つている社内にあるのだから、なんとなく心が臆して、風の音が凄じく聞こえ、覚えず身の毛が竪つて、今にも大木が頭の上に仆れかゝるやうに思はれたが、修行の積むに従うて、次第に慣れて来て、後にはかえつて寂しい中に趣きがあるやうに思はれた。」
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「拝殿の礎石に腰をかけて、瞑目沈思、心胆を練磨し、しかる後、起つて木剣を振りまはし、更にまた元の礎石に腰を掛けて心胆を練磨し、また起つて木剣を振りまはし、かういふ風に夜明まで五、六回もやつて、それから帰つて直ぐに朝稽古をやり、夕方になると、また王子権現へ出掛けて、…」
勝麟太郎(後の海舟)19歳頃。島田虎之助の元で剣術修行に励んでいた麟太郎は、王子権現での寒稽古に臨みます。そして稽古を終えた麟太郎に、虎之助は蘭学を勧めます。
マンガ『夢酔独言』百二十八話(1/4)
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※妻に着物をプレゼントするとか、このへんはフィクション演出です。
「翌年二月から気分悪くなつて大病に」なるので、その兆候です。
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「町中から五節句の度に、家主どもが金を持ってくるからよかった。
そのうえに、女郎屋で暴れる者があれば、ゴロツキを行かせて済ましてやった。ずいぶん治安がよくなったから、長屋一棟から二分ずつ、合わせて七両二分、盆暮の肴代にくれた。」
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「この年、中二階を建てたが、茶を始めて、今度は茶室を構えた。竹内という従弟の隠居と、いろいろ茶道具を買い集めたが、欲には限りがないもので、また金が欲しくなった。近所や前町の切り見世一同から、それぞれ分けて金を借りると、三日の内に二十六両も集まった。」
#はやおき訳
勝夢酔(小吉)39歳。茶道具集めに熱中しながら、女郎屋で起こる騒動にゴロツキを派遣して解決し、町中からお礼の金が集まるようになります。一方で、持病の脚気が悪化して…。
マンガ『夢酔独言』(1/2)
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「なに、みなが坐しても、銭の事やら、うまい物の事やら、いろ々々の事を考へて、心がどこにか飛んでしまつてゐる。そこを叩かれるから、吃驚りしてころげるのだ。」
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「大勢の坊主と禅堂に坐禅を組んでゐると、和尚が棒を持つて来て、不意に禅坐してゐる者の肩を叩く。すると片端から仰向けに顚れる。」
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「彼の島田といふ先生が、剣術の奥意を極めるには、まづ禅学を始めよと勧めた。それで、たしか十九か二十の時であつた、牛島の弘福寺といふ寺に行つて禅学を始めた。」