勝小吉３５歳頃のエピソードで、小吉の次兄･松坂三郎右衛門さんが初登場です。 『夢酔独言』では「三郎右衛門」表記ですが、他の資料では「三郎左衛門」表記だったりします。漫画では小吉の表記を採用しています。 三郎右衛門さんの名前は、本所林町に見ることができます。

勝小吉３５歳頃。次兄･三郎右衛門が越後へ代官として赴くにあたり、三男の正之助を供に連れて行くことになります。小吉は勤め先のことを正之助に手紙で教えますが、この手紙が三郎右衛門を怒らせてしまいます。 マンガ『夢酔独言』八十七話（１／４） #漫画が読めるハッシュタグ

（２／４） 「大兄や近親どもが来て相談して、おれに、 『当分林町に居てくれろ』 と言うから、毎晩泊まるようにした。 その月の二十五日に検死が来て、二十九日には忠蔵の妻と兄の妻と、忠蔵の惣領眊太郎が評定所へ呼び出しになった。おれと黒部篤三郎という兄の三男が、付き添いとして出席した。」

（３／４） 「この暮れ、林町の松坂三郎右衛門が越後へ行くのだが、三男の正之助というのを心配するから、供に連れて行けとおれが言ったら、了解して連れて行くつもりになったようだった。そこで正之助に、お代官のお侍は支配地へ行くと金になると、勤め先のことをいろいろと教えてやった。」

（４／４） 「検見での心得も教えてやろうと思って、手紙に書いて正之助に送った。それをどうして取り落としたか、兄（三郎右衛門）が手紙を拾って江戸へ持って帰り、大兄（男谷彦四郎）に見せて、おれをいろいろ悪く言いおった。」

勝小吉３６歳。甥の正之助に出した手紙が元で、二人の兄を怒らせてしまった小吉。それぞれの所へ赴き、弁解しようとしますが…。 マンガ『夢酔独言』八十八話（１／４） #漫画が読めるハッシュタグ

（２／４） 「三郎右衛門が手紙を拾って江戸に持って帰ってきて、大兄に見せておれをいろいろ悪く言った。大兄は腹を立て、おれを亀沢町へ呼び出した。 行ってみると、兄が、 『お主はどうして正之助に、いろいろと悪知恵を吹き込んだのだ。不埒なやつだ』 と言った。」 #はやおき訳

（３／４） 「兄嫁に、 『正之助の一件を片付けなされ』 と言われたから、すぐに林町へ行って三郎右衛門に会った。 『兄弟なのに薄情じゃないか』 と訴えてみたが、兄は、 『それもこれも、貴様のためを思って大兄へ言ったのだ』 などと強情を張る。」

（４／４） 「そこで、役所の一番元締の太郎次というのを兄のそばへ呼び寄せて、三郎右衛門が家事取締が不十分で、これまで大きな役を任されるとしくじることが度々だから、今回のお役目も勤める器量がないのだ、引退するがいいと言ってやった。」

己考漫画一応終わらしました。手直しして完成させます。 最初４ページの回想のつもりだったんだけども、その場その場で膨らまして５０ページも描いたかと思いましたが、試しに１０ページ数えてみたら（多過ぎたら使い物にならなくて怖いので数えてなかった）、そんなでもなかったです。

勝小吉３６歳。甥の正之助に出した手紙が元で、二人の兄を怒らせた小吉。事を収めるため、小吉は自ら書いた手紙を偽筆と言い張る作戦に出ます。 マンガ『夢酔独言』八十九話（１／４） #漫画が読めるハッシュタグ

（２／４） 「三郎右衛門が怒って、御用箱からおれの手紙を取り出し、 『貴様が書いた手跡だ。よく見ろ』 と、おれに向かって投げ出した。おれは手紙を拾って、燭台を出させて大声で三度繰り返し読んで、兄へ返した。 『よく似せました』 とおれが言うと、 『何と、これでもつべこべ言うか』」