勝小吉36歳、夏。実家の男谷家に呼び出されて行ってみると、自分を入れる檻が出来上がったから見てみろと言われます。
マンガ『夢酔独言』九十八話(1/4)
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「この年の夏、男谷から呼び出された。後のこと、子供のことまで妻に言い残して亀沢町へ行った。」
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「男谷へ行ったら、兄嫁をはじめ皆が泣いていた。精一郎の部屋へ行ったら、兄嫁が言った。
『左衛門太郎(小吉の本名)殿、どうしてそんな無茶ばかりしなさる。お兄様がこの間から、お前の世間でのようすを残らず聞き取っていなさったが、放ってはおけぬと心配して、』」
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「『今度庭へ檻をこしらえて、お前を入れると言いなさるのよ。いろいろ精一郎や皆止めたけれど、少しも耳を貸してくれない。檻も昨日出来上がったから、晩に呼びに行って押し込めると相談が決まったの。庭へ出て見てみなされ』」
勝小吉36歳。実家の男谷家に呼び出されて行ってみると、自分を入れる檻が出来ていた。「改心しろ」と説得する親類の皆さんと、「改心するくらいなら檻へ入る」と言い張る小吉との攻防です。
マンガ『夢酔独言』九十九話(1/4)
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「『私も今度檻へ入ったら、例え許されたとしても出はしませぬ。というのも、私もこの頃は本所で男伊達のようになってきて、世間も広く、私を知らぬ者は馬鹿にされるほどになりました。それがこうなってはもはや世の中に顔を出すこともできませぬから、断食をして一日も早く死にます』」
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「『慎みようもない。親父も死んで頼みもないから、御番入りもとっくに諦めました。せめてしたいことをして死のうと思っていたが、兄に面倒をかけては気の毒だ。今からすぐに、ここに居ることにしましょう』
と言ったら、精一郎は、
『私も、お前は必ず断食して死ぬだろうと思ったよ』」
マンガ『夢酔独言』百話(1/4)
勝小吉36歳。己の素行の悪さで実家の檻に入れられそうになるも、親類の皆さんの説得でいったん帰宅します。実家から迎えが来るのを待つ小吉ですが…。
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「夜五つ頃まで、呼びに来るかと待っていたが、一向に知らせがないから、その番は吉原へ行って翌日帰った。
それから、
『ただで済ますわけにいかないから、兄上へ一筆書け』
と言われたが、それもしなかった。」
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「姉がいろいろ心配して、あちこちの寺に祈祷なぞ頼んだと聞いたから、姉を安心させるために隠居した。翌年春、三十七の年だ。」