オノ・ナツメ『リストランテ・パラディーゾ』
全従業員老眼鏡の食堂を舞台にした漫画
人は年齢を重ねることで経験を重ね気遣いと慎重を手に入れる。でもそれはズル賢さと臆病でもあり、真っ直ぐな"若さ"が羨ましくもあったり。
カメラワークの驚異の上手さ(画像3枚目参照)。
最後の番外編が凄く良い。
沙村広明『ブラッドハーレーの馬車』
貴族の養女となった孤児達の漫画
悪夢には悪夢の作法がある。史実のような凄惨なリアリティと"これは夢だ"と伝える残酷なファンタジィ。
"社会の生け贄"となった少女の紡ぐ悪夢。天国を夢見た少女達を地獄に運ぶ馬車。
この漫画もまた"社会の生け贄"たらんことを。
高野雀『あたらしいひふ』
洋服やフェティシズム等の短編集
話が連なりながら主人公が交代する形式で描かれた作品たち。繰り返されるのは"自己"と"他者"とその二者による"関係"。自意識は他者の観察と干渉を受けまた自己にフィードバックされる。
方程式のような構成とセンス抜群のエピソード、巧い。
雲田はるこ『ばらの森にいた頃』
吸血鬼、映画俳優、ヤンキー、ネカマとバラエティ豊かなBL短編集
ジャンルもテイストもバラバラだけど、どの作品もコミカルな中にもアンニュイで艶のある圧巻の雲田ワールド✨溢れる中年の色気と若者の精気。
映画のようなシーンの演出や話の構成が巧みすぎ。大好き✨
あ、ちなみに『ハイスコアガール』のいちばん好きなシーンは、4巻の、家出した大野さんを探しに行ったハルオがゲームキャラたちに大野さんの居場所を教えてもらうシーンです。
2次元のゲームキャラが2次元の漫画の中で動き出すメタ表現が完成したシーン。めちゃくちゃ好き。(やっぱり語りたい。笑。
『その日世界は終わる』
"世界の終末"をテーマに海野つなみ原作で漫画家10人が作画したアンソロ集
個性派作家ズラリでそれぞれの作風が色濃く出ているのに、根底にはつなみテイストがしっかり流れている不思議さ。
"世界の終わり"という絶望的な状況なのに希望のある話ばかりなのも良い。面白かった!
草間さかえ『タケヤブヤケタ』
火消しの先祖と現代を繋ぐ漫画
絵本のような絵巻物のような叙情的でノスタルジアに満ちた草間漫画。浮世絵のような火事表現の美しさ。
パラパラと投げ出されたピースが埋まってゆく充足感✨
因縁も由縁もどちらも"縁"だから、撚り合わさって繋がって細い糸も"絆"になる。
雁須磨子『かわいいかくれんぼ』
先生×生徒のBL
大人になる前の高校生と大人になってしまった先生。定まらない自分の愛と性を抱える子供は愛する/愛されることで成長してゆく。その子供を見守る大人の喜びと不安。
"1人になるなよどんなことでも わかりあえる奴をつくれよ"、それが社会でそれが生活。
押切蓮介『ハイスコアガール』全10巻
ゲーマー恋愛漫画
ハルオはモテる。オタクでケチでダサいのにモテる。ハルオの前向きで熱いカッコ良さ。モテて当たり前なのだ。
この漫画は青春の投影。ハルオは自分であり友達であり恋人なのだ。
ゲームを愛したハルオがゲームキャラに助けられるメタ表現!傑作✨