鈴賀レニ「ミスナルシスは花柄もよう」
ジャケでパンチラしている珍しい一冊。鈴賀作品はいがらしチックな絵柄が印象的で、今回も顕著。内容はヒロインと甥っ子のラブコメ…かと思いきやイケメン生徒会長が持っていって終わる、不思議な読後感を得られる一作である。
#タイトルだけで買った漫画
吉田秋生「吉祥天女」
男を狂わす魅力を持つ美少女・叶小夜子を中心に起きる群像劇。シャープかつウェットな展開ながらも、氏独特のドライな描線とメリハリの効いた場面転換が、読者のリズムをどんどん加速させていく。過去作にも見られる会話の妙も健在で、キャラに血を通わせている点も好印象だ。
藤本ひとみ/関よしみ「赤い悪魔の子守唄」
ハイスピード・エクストリームホラーの名手 関よしみ先生の「なかよし」時代の一冊。絵柄も可愛らしいので、当然恐怖展開との落差も激しい傑作だ。再開発に燃える町長と警鐘をならすババアを伏線とした、人喰いクモが人々を襲うパニックホラーである。
本当にどうでもいいんですけど、個人的に好きな所としては、少年が飼っていた犬の名前が「安次郎」(愛称:ヤス)てところと、ヒロインが町長の娘にヒドイ煽りを入れるところです。
茶木ひろみ「17の赤くなる病気」
「銀の鬼」などの代表作で知られる茶木先生の初期作品。表題"17の赤くなる病気"とは恋患いの事を指すのだが、物語後半でもう一つ別の意味を発現する仕掛けは面白い。主人公の心情の盛り上がりが繊細に描かれており、好印象である。
#タイトルだけで買った漫画
もりちかこ「逆鱗地帯」
アイドルの少年と恋人関係である主人公は、彼の狂信的なファンから嫌がらせを受ける。その中には彼女が愛する姉の姿もあった…。極端な価値観が集団となり暴徒と化す様は現代でも同様の事例が多く、本作は一種のシニカルホラー的スタンスを採っている印象だ。
#ちゃおホラー
この漫画はホラーとしてのポテンシャルを秘めていると考えると面白い。
登場人物達は当該のファミコンタイトルをプレイしていないのである。画面は消え、彼らは妄想のみに頼り、自身の言霊で暗示をかけているのだ。「燃えプロ」回では実際の野球中継画面を前にプレイしている可能性が考えられ、怖い。
幻余次郎/松永るりこ「Mr.ブルマーの後始末」
数々の教師達を悩ませる問題児への対応の為赴任した高松教諭。だが、彼も問題児ビューティフルトリオの前ではてこざるを得ないのであった。"Mr.ブルマー"というのは高松教諭が罠にハメられ履かされた事に由来する。
#タイトルだけで買った漫画
鈴賀レニ「ミキとアキ」
アイドルものはおしなべてスポ根要素や因果設定が強く、本作も後に明かされるメイン二人の関係性やライバルとの対立が、ストーリーのスパイスとして機能している。
王道ともいえるストーリー構成の中でもなお本作が煌めいて見えるのは、キャラクターの可愛さに他ないだろう。
北河正郎/松森正「恐怖への招待」
ハードボイルド劇画の雄・松森正筆によるサスペンスホラー。結構強めな残虐表現も淡々と進むストーリーと理路整然された構成美による血なまぐさを余り感じさせない点が印象的。
読み物としての完成度が非常に高い、短編を9本収録している。
早見純「うずく季節」
処女である事にコンプレックスを抱き、思い人の先生に釣り合うよう焦る主人公。主人公に思いを寄せる級友から処女を奪われるも、そこでようやく自分がコンプレックスを払拭できたと歓喜するのであった。
氏の最初期作品で絵柄も随分異なる味わい深い一作だ。
#暗黒大陸早見純