おそらく2017年最大級の事件となるであろう「コミッククリエイト」の復刊事業。中でも最も衝撃的な一冊が本書、蕪木彩子「解剖」だろう。2017年の新刊として読むには高難度のスプラッター表現とウルトラモンドワールドは、奇跡という神の悪戯にしても悪質が過ぎる。
いいぞ!もっとやれ!!
岸本加奈子「虫」
不快害虫とホラーとの親和性の高さは、犬木加奈子「ゴキブリの家」なぎり京「赤いへや黒いへや」など新旧世代のホラーでも取り上げられる点を見ても明らか。本作はそこにレディコミの毒々しく粘っこいストーリー構成が加わり、何だかとってもドギツイ内容となってしまっている。
石ノ森先生も「そして、だれもいなくなった…」で終末に伏線はない、という事を複数の物語を同時進行させる手法でアプローチされている。ほのぼのギャグからハードボイルドまでが同時進行し、ラスト水爆機の事故により世界が崩壊を迎える展開は、平和な日常の別場所では悲劇がある事を暗喩している。
先日、永田トマト作品を読んでいると「夏への扉」が今朝の出来事に基づく、未来の姿が揶揄されたように感じてハッとしてしまった。
本作は米ソ冷戦時代が背景としてあるのだが、30年以上経ってもこういうところは変わらないんだろうなあ…と思い到り、妙な納得感を得てしまった。
西尚美「アランイヤンナイト」
タイトルに一目惚れしたんだけども、当然ながら全体的にノリが古い。西先生と言えばスケ番を曲解した快作「天使か悪魔かおねえさま」が有名だが、本作も負けず劣らずズレてしまっている所が最高だ。押しかけ系の末席に加えたい一作である。
#タイトルだけで買った漫画
里中満智子「湯あがりはピンク色」
大家・里中満智子先生がエロコメ!?と狼狽したのだが、内容は銭湯を舞台にしたほのぼの群像劇である。一応ヒロインの入浴シーンあり。
常連の老カップルのシーンで見せる、温泉マークを効果に使うの手法が斬新過ぎてびびった。
#タイトルだけで買った漫画