しらいしあい「乱調家出講座 キャベツを食べた朝からくさ模様のデカふろしきをかかえて」
とにかくタイトルの長さが目を引くのだが、中身は見事な"しらいし節"全開の佳作。家出少女・
あふみが行く先々で色々悩みつつイジケたりしながらも色々学ぶ成長の物語である。
#タイトルだけで買った漫画
しらいしあい作品といえば「無・夢・矛…」も押さえておきたいところ。背伸び少女の揺れる心情が、しらいしテイストバリバリのモノローグや台詞回しで展開されるため、ポップかつライトながらも非常に生々しい印象を残す青春グラフィティの佳作である。少女漫画には珍しいセックス描写にも注目したい。
樫みちよ「フルコースたべた」
フルコースとは男女の関係が最後まで行き着いたことを揶揄している。リリカル、というよりはドライで野暮ったい描線と演出が印象的で、これは体験後の心情の変化を分かりやすく淡々と描く効果として上手く働かせており、好感が持てる。
#タイトルだけで買った漫画
鈴木玉恵「ジュリエットはサンマ定食がお好き」
定食屋の娘である主人公・咲子と彼女が一目惚れした修一とのラブコメである本作は、咲子の父親の言により修一をサンマに例えられ「サンマ定食」というタイトルに紐付いている。
脇のキャラがやたら濃いのが気になる佳作。
#タイトルだけで買った漫画
個人的には友達の垂芽ちゃんが気になってお話に集中できなかった、というのが正直あるが、修一を"サッチューザイ"となじったあと咲子に高確率で殴られる隠し天丼(※隠れてない)が面白くて、最終的にはそればっか気になってしょーがなかったという無駄な感想を報告しておこう。
イケスミチエコ「恋の立ち読みおことわり」
主人公の家が貸本屋を営んでいるって設定だけで個人的にはお腹いっぱいになってしまう本作。タイプ別のお客に恋をするというラブコメ作品なんですけど、貸本屋ってワードに代表されるように、やはり全体的に恐ろしく"古い"。
#タイトルだけで買った漫画
"ドエッチ"って「DOHあんみつ姫」以外であんまり聞きませんよね。でもこの作品では"ドビジン"とかもいうのよね。"ドブス"といえば児嶋都作品ですが、ドビジンは初耳でした。
小丸栄子「恋のステーキまだ焼けない!」
小丸栄子(こまるえいこ)先生といえば、怪作「まさかの将門くん」が有名だが、本作の様なオーソドックスなラブコメ作品もメリハリが効いており面白かった。
"ステーキ"が全く出てこなかった点はちょっと驚愕に値するが…。
#タイトルだけで買った漫画
表題作以外だと、国嗣無双・卯羅子兄妹が活躍する連作が面白かった。いかにも80年代少女ギャグ漫画のノリが心地よく、姫カットの美少女である卯羅子の崩れる顔が見せるギャップはこのジャンルならではの魅力といえるだろう。これによりキャラはグッと親しみやすくなるのである。
元々ラブコメを主とする磯野こずえ作品では、ホラーについて"描かされた感"をコメントに残しているという珍しいタイプ。編集の企画で上ったコンセプトとして造詣のないホラーを描く、という流れが実在する事の証左として貴重な一例と言えるだろう。
#同一作家の本誌作品とホラーに見るギャップ
りぼんでは比較的珍しいホラーを描いていた坂東江利子。キャリア的には大きな間隔があるので単純な路線変更が窺える。「ラミ~」や「~ミータン」はオールドスクールな学園ラブコメであり、後のホラー作品とは当然ながら印象は大きく異なる。
#同一作家の本誌作品とホラーに見るギャップ